かくて地固まる

常識外れたち

 おんが連れてきたあまは、本来のこうざき博士よりも若かった。等身大で作るには、当時部品が足りていなかったというのが本人の弁である。

「それに、おんとおそろいに作れると思ったら、無理して大きくする必要なんかないかなって」

 にこにこと笑いながら言うあまは、一見するとじゃな子どもそのものだ。

「ごめんねぇ、のん。今回は結構、苦労けちゃったね」

「いえ、あま兄さんの暴走をさえるのが私の仕事ですから。私こそ、ぐに察知できなくてすみませんでした」

 のんたがいにあやまった後に、あまは口をとがらせる。

のん、最近ずっと口調がかたいよね。昔みたいに、もっとえらそうな感じでも、良いのに」

 のんいやそうな顔をした。

かんべんしてください。あの口調がいやだから、話し方を変えようと思って、がんっているんです」

 だんからのりなのだろう。あまはそれ以上のんの口調についてげんきゅうすることもなく、りゅうじんけいがいしゃの面々に向き直った。

「今回はのんとボクのメンテナンスをしてくれるってことで来たんだけど、まさかではしないよね? どの部屋に行けば良いのかな?」

「あ、それはおれの作業部屋っすね。こっちっす」

 せいに連れられ、のんまっていた客間からせいの仕事部屋へと移動する一行。

 立派なおしきだとはしゃぐあまの様子はねんれい相応、むしろ、もう少し幼い少年のようだったが、せいの部屋に着いたしゆんかん、そのまなしがするどくなった。

「なかなか良い感じにコンピューターそろえてるんじゃん」

 せいは目を見張った。

「わかるっすか」

「そりゃ、機械いじりずっとやってたしね。やっぱり本職の部屋はちがうよね。のんはそういう経験無いし、のん自身の性能が良すぎるものだから、すごさがわかっていないかも」

 言われてせいのんかえったが、確かにきょとんとした様子で、特にかんめいを受けた風でもない。あまはちょいちょいとのんを手招きして呼び寄せ、にこの部屋が世間いつぱんの最先端技術を使っているかを説明しだした。

 いちべつしただけでそれらを識別したあまたいがいだとあきれるせい耀かぐは、勝手知ったるせいの部屋にさっさと入ってしまい、おんかついできた荷物を空いた場所に広げるのを手伝っている。ふうふうで、いつの間にかちゃっかりとあまの解説に聞き入っていた。

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