禁忌の産物

 そして、ちんつうおもちののんは、室内のだれもがいだいたおんな予感を裏切ることもできず、告げた。

「それが、おんです」

 いっぱくおいて、ずはふうが反応する。

「まさか、生体コンピューター!?」

「ええっ、ほうじゃないっすか!」

 ふうせいしょくぎようがら、コンピューター関連のことについてくわしいだけに、より一層のんの話が信じがたいものだと理解した。

 生体コンピューターについての研究は数あれど、全てねんきんや、ばいようされたさいぼうを使用していることになっている。人間そのものを使うのは、りんてきにも法的にも、この上なくされるべきことであり、よもやその実例が、しかもこれほど社会にむ形で堂々と存在していたことに、おどろきを禁じ得ない。

「ザイオンサーバーがからくりに注目するのは、そこに兄のおん兄さんがいるから。私に場所をくれたのは、かのじょ自身が私の作品を気に入ってくれたからです」

 耀かぐは思わずけんに寄ったしわを指でばした。

「確かに大層な仕事だ。で、それでものんは、おんを救い出したいと、そう思っているわけだな?」

「はい。おんは、つかまったのは仕方のないこと、って言いますけれど、でもずっとおん兄さんの姿を追っていますし、正直私がいないと意識も保てないという状態で、ちゃんとあつかってもらっているとは、とても思えません。それに、あま兄さんが、おんさらわれたのはご自身のだと常々気にされていて、だからだっかんしたいって言っていました」

 なるほど、そのゆくが厳重にかくされ、軽々しくむかえに行けないと言われるわけである。きんともいうべき、人間を使用した生体コンピューター、しかもなんこうらくのネットサーバーとしてだいかつやくしているともなれば。

 やっとのんが心を開いてくれたかと思えば、飛び出すのはちょうきゅうばくだんばかり。その願いに加担すべきか、耀かぐいっしゅんなやんだ。なやんだのは、いっしゅんだった。

「よし、わかった。何とか手を打てないか、考えてみよう」

 かんはつれずにふうも参加を表明する。

「あ、それなら私も手を貸すわ。だっかん作戦おもしろそうだし、ほう生体コンピューターなんて、あっちゃいけないわよ」

おんちゃんわいそうっす! 助けられるなら、おれも手伝いますよ」

 せいんでおり、たんそくした。

「反対するだけ、というものでしょう。社長がお決めになったことなら、私はそれに従うまでです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る