風薫の謝罪

「私の残すこんせきに食い付けるのですから、相当な技術力は持っていると判断します。耀かぐさまに忠実なところとか、何だかんだで誠実なところもポイント高いです」

 一息にめきって、ただ、とのんは続けた。

「私が言うのもどうかと思いますが、本人の防衛力が低いので、メンテナンス中は耀かぐさまと秘書さんに護衛していただけると、なお安心かなと」

 ふむ、と耀かぐうなずいた。

「だ、そうだぞせいらいされたら受けるか?」

 たっぷり一呼吸は置いて、せいかくにんする。

おれが受けたら、社長さんと姉貴がおれのんちゃんの護衛に入るんっすか」

「そうなるな。私とについては、だれかを護衛するだけなら、いつもの仕事と変わらない。一番大変な思いをするせいが決めれば良い」

 これってせんたくの余地あるんっすか、などとぼやきつつもじゅだくの返事をせいがしたので、おん耀かぐが本格的に、のんのメンテナンスの打ち合わせを始めた。二人の様子をしりに、ふうきょだくを得てのんに近寄り、けいかいするかのじょに、謝罪の言葉をけた。

「ごめんなさいね、おんさんをつかまえようとしちゃって。からくりのことがわかるかもしれないって思って、周りが見えてなかったわ」

あやまるなら、おん兄さんに言ってください」

 おこっているような、ねているような表情でこばのんに、ふうはなおも言う。

「アナタの手当をしているときにあやまったら、気にするなって言われたわ。でもね、つかまったおんさん本人よりアナタの方が傷ついたように見えたから」

 のんしょうぜんかたを落とした。

おん兄さんが気にしていないというのであれば、私がどうこう言ってもかえって差し出がましいだけでしょう」

「それでも許すって言ってくれないのね」

 だまんだのんはそっと目線を落とし、ふうにがわらいした。

「仕方ないわ。それだけのことをしたって、自覚してるもの。それよりも私、気になることがあって、のんさんに聞きたかったのよ」

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