無職童貞35歳クズ、一目惚れする


 あれから、赤ん坊になった俺は自分の意思に関係なく、しばらくの間ずっと泣いていた。

 泣き止むことができたのは、体を洗われて、ふわふわのベビーベッドに寝かされた頃だったろうか―。



 少しばかり落ち着いてきたこともあり、辺りを見渡してみるが、やはりなんとも豪華な部屋であることが伺えた。


 天井にはでかいシャンデリアと思わしきものがぶら下がっていて、この部屋だけでも俺が住んでいた家より広そうなのが見てとれる。

 壁にはきらびやかな装飾や絵画。地面にはご大層な赤い絨毯。そしてその上を執事やメイドの服装をした十数人程の男女がテキパキと動いていた。


 その中で、一際ひときわ俺の目を惹いたのが、馬鹿みたいにでかいベッドの存在だ。

 残念ながら、ベッドには茜色のカーテンが隙間なく掛けられていて、中を伺うことはできないが、おそらく俺を産んだ人物がそこにいるのかもしれない。


 そんな感じで、ざっと部屋の中を物色した俺の脳裏には、アニメで見たような貴族や王族の部屋なんかが浮かんでいた。



(もしかして今世の俺の親は結構偉いやつなのか…?)



 そもそも此処ここは地球なのだろうか?

 見れば、先ほどからせわしなく動いてる奴らは、全員外国人のような顔つきをしている。


 此処が地球でないとすれば、異世界転生というやつを今まさに体験しているわけだが……。



 そうして俺が状況を確認していると、大きな両開きのドアが突然大きな音を立てて開いた。

 慌てて音の方へ視線を向けると、これまた王様と一目でわかるような服装をした中年の男が目をかっぴらき、扉の先で突っ立っている。


 もしかしてこいつが転生後の俺の父親なのだろうか……?



 その中年の男、髪は白髪に染まりつつあるも、老いを感じさせないとでも言えばいいのか。顔面はキリッとしており、ガタイも非常に大きく、全然太っているようには見えない。

 また、前世では感じたことのないオーラというか何というか……威厳のようなものをその男からは感じられた。


 そんなオーラに当てられたのか、俺は直感的に、此奴こいつを越えるべき目標にすることにした。

 いきなり変なおっさんを目標にするなど自分でも信じられないことだが、何故か此奴は越えなければならないと、胸がざわつくような感覚に襲われたのだ。



 ……いや、目標なんてのは俺の性に合わないな。だ、此奴は。

 俺以上に目立つ男は全員潰す。邪魔なやつは全員潰す。たとえそれが親であろうとも。


 前世で学んだことだ。母親に殺された俺にとっては親も敵同然である。俺に完全に与したと思った奴以外は全員敵だと思った方がいい。



 俺が男を敵視していると、男の姿を見た執事やメイドたちが一斉に姿勢を整え、お辞儀をした。

 やはりこの男は、俺の予想通り、高い身分のようだ。


 男は俺の前まで来ると、数十秒もの間、じっと俺の顔を見つめだした。

 一体どうしたのか分からないが、その圧に息が詰まりになる。



「―――――――!」

「――――……」



 男は見るのを止めると、執事とメイドに何かを言い始めた。

 言語が日本語ではないため、会話の内容が全く理解できない。そもそも聞いたことのない言語だった。



(おいおいまじかよ! もしかしてこの言語覚えなくちゃならねぇのか……!?)



 ふざけた話である。これなら日本で転生したかった。なんで態々わざわざ言語を覚えるためにまた勉強しなきゃならんのだ。



 俺が憤慨している間に、どうやら男は執事やメイドたちとの会話を交わし終えたみたいで、少し困惑しているようだった。

 男は次に、馬鹿でかいベッドのカーテンをめくり中に入ると、その中に居る誰かと話をし始めた。





 暫くして、突然カーテンが開いたかと思うと、その中から俺を産んだであろう人物が顔を覗かせた。



 ………!!!!!!!!!!!



 絶句とはこういうことを言うんだろう。あいた口が塞がらない。今にも目が飛び出しそうだ。

 それほどまでに、その人物は今まで見たどの女よりも美貌を兼ね備えていた。


 髪染めなんかでは決して再現できないであろう透明感を持った天然の黄金色の毛は一本一本全てが美しく、その髪に一切引けを取らないほど端正な顔立ち。

 こちらを見つめる蒼玉サファイアの瞳は、まるで吸い込まれるような感覚に陥ってしまうほどに麗しい。


 それだけでも十二分なのだが、また凄いのはその体つきだ。

 一体何を食えばそんなに乳が大きくなるのかと問い続けたくなるほど男をかどわす爆乳が、薄着の上から懸命にその存在感を主張していた。

 ウエストは程よく引き締まっているのに、俺を産んだであろう下半身はむちっとでるとこがでている。あの大きなお尻を眺めながら、後ろから盛った猿のようにパンパンと打ち突けるのは一体どれほど気持ちの良いものなんだろうか……。

 全てが完璧な彼女に俺は見惚れてしまっていた。



(こんないい女は見たことねぇ……! 絶対俺の女にする! この男が旦那だろうと、女が母親だろうと関係ねぇ。何がなんでも寝取ってやる!!!)



 そんな俺を彼女はゆっくりと抱き上げ、優しい顔を俺に向けながら、諭すように中年男に何かを言っているようだった。

 話が終わったのか、そのまま彼女は俺を抱きかかえたまま自分のベッドへと足を運び、カーテンを閉めた。



(な、なんだ……?)



 俺が困惑していると、彼女は器用に片手と膝で、赤ん坊である俺の姿勢を崩れないよう固定しつつ、もう片方の手で身につけているひらひらのシースルーのボタンを外していく。

 徐々にあらわになったセクシーな下着に見惚れ、釘付けになっていると、彼女はその下着すらも上にずらしてしまった。

 途端に下着の中からこぼれ、晒される爆乳に、俺はどうにかなりそうだった。


 いやらしい大きな乳輪。恥ずかしがり屋な山頂。そう、陥没である!



(なんてエロいんだ……! 今すぐにでも犯してやりてぇ!!)



 年齢では赤ん坊であるがため、下半身の息子が大きくなることはないのだが、心の中の俺は大きくたけり立っていた。

 こうなれば、これから始まるであろう行為に胸を弾ませるしかない。


 俺が血眼で見つめる中、彼女は自分の乳首のあたりを弄り出し、隠れている恥ずかしがり屋なつぼみをほじほじと掻き出し始めた。



「―――ッ♡」



 小さくだが、その嬌声は確かに俺に耳に届いた。感度がいいのか、熱をふんだんに帯びていて、非常に卑猥に思える。

 何度か声をあげたころには、その蕾は顔を出しており、可愛らしい乳首がミルクを垂らし、今にも吸ってほしそうにしていた。



 そんな乳首を顔に近づけられた俺の理性はどうなるかって??


 1秒もたたず、すぐに崩壊するに決まったんだろ!!



 意識せずともその美味そうな乳首に俺はむしゃぶりついた。

 ちゅうちゅうと吸い上げると、ミルクが出てくる出てくる。その度に彼女は喘ぎ声を抑え、必死に耐えてるようだった。


 本当はもっといやらしく乳首を吸ってやりたいんだが、ちゃんと身体は赤ん坊なのか。体が言うことを聞かず、懸命にミルクを飲むだけだった。赤ん坊の体が憎ましいことこの上ない。



 暫くしてミルクをたらふく飲み終わると、睡魔がやってきたのか、急激に眠くなってきた。

 赤ん坊の体とあってか、もはやなんの抵抗も出来ず、このまま睡魔に身を委ねていくしかなさそうだ。


 瞼もゆっくりと落ちつつ、意識が途切れそうな眠りぎわ、彼女から何かを囁かれた。

 言語がわからないため、なんと言っているのか分かるわけがないのだが、不思議と「おやすみ」と言われている気がした。



(おやすみ……)



 心の中でそう呟くと、俺の意識は完全にまどろみへと沈んでいった。


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