僕のナンパ!②

崔 梨遙(再)

1話完結:1200字

 まだ学生の頃、金髪の白人美人とお付き合いがしたい! そう思った僕は、ナンパに繰り出した。さて、どこでナンパするのがいいだろうか? やっぱり観光名所の京都だろう! 僕は大阪から京都へ移動した。

 

 初日は、観光名所で頑張った。しかし、どうも効率が悪い。カップルが多く、声をかけにくい。やっぱり理想のターゲットは女性1人か女性2人組だろう。結局、初日は収穫が無かった。

 

 そんな時、僕はまた自分でルールを作る。3連休、成功するまで家には帰らないと決めた。果たして、僕が家に帰れる日は来るのだろうか? 初日の反省は、場所以外にもあった。言葉の壁が問題だった。今すぐ英語力がアップするわけもないので、日本語の話せる女性を探そうと思った。そして、その日はカプセルホテルで寝た。

 

 次の日は朝から駅へ。1番白人さんも集中するスポットだったし、日本で働いている人も多く集まるはずだ。


「イクスキューズミー、キャンユースピークジャパニーズ?」


 もう、最初から日本語を話せる人を狙い撃ちすることにした。


「ノー」

「ホワット?」

「パードゥン?」


だが、連戦連敗だった。


(今日は無理かな?)そう思った矢先、僕好みの金髪白人美人が僕の目の前を通り過ぎた。顔も好みだが、とてもスタイルが良い。身長は170cmくらいだ。ちなみに僕の身長は169cmだ。


「イクスキューズミー」


僕は、その日最後の力を振り絞った。


「キャンユースピークジャパニーズ?」

「はい、話せます」

「一緒に食事に行きませんか?」

「いいですよ」


バンザイ!

 

 それから2人は食事して、日本語で語り合った。彼女はジェニー、日本の英会話スクールで働いていた。僕達は、言葉の壁を乗り越えることが出来た。僕の力で乗り越えたわけではないのだけれど。その日は連絡先を教え合って終了。


 2週間後、彼女は僕の恋人になった。


 毎日が楽しかった。なのに、ジェニーがふと見せる暗い影が気になった。嫌な予感がした。けれど、何事も無く、ジェニーと付き合って2ヶ月以上経った。


「来月、アメリカに帰る」


 ある日、突然ジェニーが言った。里帰りか? だったら、僕もジェニーの家族に会いたい。ご挨拶しようと思ったのだ。


「じゃあ、俺も行くよ」

「ノー! NO! NO! NO!」


 全力で拒まれた。僕は、この時の感情の入った“ノー(NO)”を忘れない。


「どうして、ダメなの?」

「アメリカに、フィアンセがいるからです」

「マジ?」

「はい、帰ったら、その人と結婚します」

「見送りに行こうか?」

「いえ、別れにくくなるので一人で帰ります」

「そうか、急に言われても困ったな」

「今日が最後のデートです。崔のことは愛していましたよ」

「わかった(すでに過去形かよ)」



 結局僕は、彼女の心の隙間に短い間入り込んでいただけっだったらしい。それが、この恋のエンディング。あの全身全霊の“NO(ノー)”を僕は一生忘れないだろう。まあ、たまにはこういうこともあるさ。







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