第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部（二十句部門）

テーマ：生と死

　こぼれ落つ胃の腑の底から止め処なく

　自分の身削いで白骨（はっこつ）になったなら

　子は鎹（かすがい）呪いのように囁かれ

　耳はもういらないと忌（い）むかすれ声

　月夜（つきよ）海（うみ）　人魚の様に溶かされろ

　葬式を出してやろうよ憐れみよ

　ぷかぷかと海月（くらげ）のように生きて死ぬ

　燃え尽きる線香とマッチの燃え滓（かす）の子

　ひそひそと囀（さえず）るばかりで何もせぬ

　蠢（うごめ）く蟻の群れ運ばれし団子虫

　乾涸（ひから）びた蚯蚓（みみず）の憐れ土被せ

　懸命に藻掻（もが）く魚の息を止め

　潮干狩りバケツの中の生命（いのち）たち

　砂浜に捨てられていた塵（ごみ）の目を

　人の間（ま）を縫って走るは溝鼠（どぶねずみ）

　鳩序列図々しいやつ先をゆく

　観光客の飯（めし）を鳶（とんび）が狙ってる

　動物園リャマ虎視眈々（こしたんたん）唾飛ばし

　腹も減り喉も渇けば命たる

　生と死の狭間で今も息を吐く