第2話 亮介と美花

僕は待ち合わせ場所に早くついてしまった。


四ツ谷の皇室御用達の学校の裏側にある某有名フレンチレストランに併設されているカフェ。

フレンチは手が出ないけど、カフェの方は高校生でも手が出る金額で僕は気に入ってるんだ。あと隠れ家カフェというコンセプトがすごく気に入ってるんだ。


「「春楼!(くん)」」

中庭にある植木をぼーっと見ていたら、僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきて

声の方に顔を向ける。


「亮介!美花ごめんね。呼び出して・・。」

「謝らないでよ。私たちを呼んだということは別れたということでしょ?」

「うん。あのね。僕頑張って言ったんだ。亮介が言ったことをちゃんと言った。」

「おー言ったか。頑張ったなあ!春斗。」

亮介は僕の頭をくしゃくしゃに撫でる。

それがくすぐったくってくすくすと笑う。


ここら辺で二人のことを説明するね。

僕の頭を撫でた。僕と身長はあまり変わらないのに体の厚みが圧倒的に違うのは、

夏影亮介。趣味は筋トレ。高校生ながら鍛え上げてる身体は大人顔負けじゃないだろうか?

この前。お遊びで亮介の筋肉の写真を撮ってSNSにあげたら軽くバズったんだよ。

高校生でこの筋肉量はすごいってみんな褒めていた。

そのおかげか、高校生ながらフィットネスモデルをしたりしている。


頭を撫でてる亮介を横目に見ながら、僕と亮介と自分の注文をさっさとするのは

秋穂美花。普段はメガネをかけて、地味な女の子を学校で演じてるけど、本当は街を歩けば芸能事務所からのスカウトが来る美人な女の子。

小学生の時から小学生雑誌の読者モデルをしたりしていて、今もモデル業を続けている。

普通の生活を優先しているため、モデル業はセーブしている。

でも、今時の女子高生らしく、スイーツを撮る時は映えを意識したりしてる。

そしてすぐにSNSに投稿したりしてる。


この二人ともう一人が幼馴染がいるのだけど、今日は来れなかったみたいで残念がってた。

もう一人はまた別の機会で紹介できたら嬉しいな!


「で。亮介は何を春斗くんに言うように教えたの?」

「なんだかんだ言ってお前が最初浮気したんだろ?そんな女こっちから願い下げだ。クソビッチ。」

亮介は教えた言葉をそのまんま美花に言った。


美香は亮介を見てから僕を見る。

「春斗くん。本当にそれを言ったの?」

「うん!普段言わないから言った後すごく疲れた。」


美香は僕のうなづきを見て、肩を震わしてる。

「やっっっっっっば!!何それめっちゃ面白いんだけど・・・。

で、そもそもあいつなんて言って春斗くんに別れを切り出したの??」

僕は亮介と美香に彼女が言った言葉をそのまんま言ったんだ。


「はあ??春斗くんと釣り合いが取れないだって?付き合ってあげただって??

で、思っていた以上につまらないだって??」

僕はその言葉にまた少しぐさってきてしまう。


「う・・うん。実際に僕は付き合ってくれって言ったし、付き合ってもらっていたのも事実だし・・。」

僕は彼女と付き合っている時から言われた言葉を思い出して、だんだん自信が喪失していってしまった。


「ふっっっっっ。」

「っっっっっっっざけんじゃないわよ!!!」

美花はバンっと机を叩いて立ち上がる。

「どうどう・・。落ち着け美花。お前顔が般若になってるぞ。」

「誰が般若よ!!亮介はむかつかないの??」

「いやムカつくけど、そのムカつきをお前が全部体現してるから、なんか冷静になれた。」

「なるんじゃないわよ!!」

「いや・・。お前って本当春斗のことになると性格変わるよな?。

いつもの地味目なんも興味ございません。って言うキャラあれなんなん??」

「え?だって私。春斗くんと恋人以外興味ないもん。」

「あ。聞くの間違っていたわ。お前。恋人になんて言ったんだって?」

「私。がちで病みやすいから。ちゃんと病ませてね。」

「こええええっっっ!!いつ聴いてもこえええっっっ。そしてそれを受け入れてる

お前の恋人もこええよ!!」


亮介と美花のやり取りを聞いていたらだんだんと笑ってきてしまう。

そして笑いながら涙が出てきてしまう。


「春斗くん。今日は泣いて明日からはまたたくさん笑おうね。」

「そうだぞ。春斗は笑って過ごすのが一番なんだからな。」


美花は僕をぎゅーっとして亮介はまた頭をぐしゃぐしゃに撫で回す。

「ねえ・・春斗さ。お家にちゃんと連絡したよね??」

「え??」

僕はスマホを見る。

時間は門限の1時間前だ。

焦った・・。

「い・・今から連絡する。」

「今すぐ電話しろ。そして俺に代われ。」

「うん・・。」


僕は家に電話をかけた。

「もしもし・・。」

「あ!ママ・・。」

「春ちゃん!!今どこにいるの??門限1時間前なのよ!連絡が来ないから心配してきたわ!」

「ごめん。ママ。今亮介に代わる。」


そう言って僕は電話を亮介に変える。

「春ママこんにちはー。亮介です。そうなんですよ!美花と春斗と一緒にカフェであっていて・・。はい。わかりました。今からタクシー捕まえて春斗を送りますね。」


亮介は電話を切って僕にスマホを渡す。


「危なかったなあ・・。」

「うん。」

僕はため息をついた。

美花は僕を心配そうな目で見てる。


「大丈夫だよ。美花。」

「うん。そうだね。帰ろう・・。」


僕はカフェの会計を済まして、表通りに出てタクシーを捕まえて家路についた。


ママきっと心配して玄関の前でうろうろしているな。

僕は人知れずため息をついてしまった。


「春斗。大丈夫だ。春ママは心配してるだけだから。」

「うん。ねえ・・亮介、美花。いつになったらママとパパは僕のこと心配しなくなるかな?」


僕のふとした疑問に二人はそれは・・・と言って口をつぐんだ。











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