ビターコーヒー×スイーツ
K0壱
第1話 別れ話に飲むコーヒーはとても苦い。
「私たち別れましょ。私好きな人ができたの。あなたとはもう付き合わないわ。」
ある昼下がり、千駄ヶ谷のお気に入りのカフェで彼女と別れ話をした時に
飲んだコーヒーはいつもよりも苦くて顔を顰めてしまう。
「思えば、私とあなた釣り合いが取れていなかったのよね。あなたが付き合ってくれって言ったから付き合ってあげたのに、思っていた以上につまらないし。」
僕は苦いコーヒーを置いて彼女を見る。
「なんだかんだ言ってお前が浮気したんだろうが。そんな女こっちから願い下げだ。クソビッチ。」
よし!!言いたいことはいった。僕は彼女が固まってる間にさっさと席を立つ。
そして会計をしてお店を出る。
はあ・・なんであんな高飛車な女と付き合っていたんだろう。
僕は口に広がる苦味を消したくて、美味しいスイーツを無性に食べたくなった。
スマホで検索する。お目当てのお店はどちらかというと四ツ谷側にあるみたいだ。
少し歩くけどまいっか。お散歩好きだし。
四ツ谷方面に歩きながらビルの窓越しに映る顔を見る。
世間一般的に普通の身長に痩せ型でやや猫背気味に歩く自分の姿が見える。
「ああ・・。」
僕は頬に伝う涙を見て泣いてるのを実感する。
あんな別れ方したけれど、僕は精一杯彼女が好きだったし、初めて自分で向き合った恋をしたんだと、今更ながら思った。
「泣いてばかりではいられないね。美味しいスイーツを食べよう。
スイーツを食べて全部忘れよう。」
僕はまた目的地へ向かって歩き出す。
「そうだ!亮介と美花呼ぼうっと!!」
スマホのグループラインに四谷にあるスイーツショップに行くんだけど今から来られるか聞いた。
二人はすぐに既読がついて、いく!!っていう返事が返ってきた。
僕は多分二人の前だと泣いてしまうだろう。
さっき彼女に強気の発言をしたのが尾を引いてるみたいで、心がざわつく。
普段あんなきついことを言ったりしないから、すごく心が疲れてしまっているみたいだ。
それでも、僕は大好きな幼馴染二人に会えるのが楽しみで仕方なかった。
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