第3話 キャバとホスト
ホストクラブ【クローバーブラック】
トランプのクローバーがモチーフのホストクラブだ。
「新入りの涼宮末彦です」
涼宮末彦という名自体偽名だ。
本野読もだ。
キャバクラ【クリスタル・ダイヤ】
宝石のダイヤがモチーフのキャバクラ。
本野読は早速失礼な目に遭った。
「駄目だわ! この娘胸が無い!」
結局ハヴィングはボーイとなった。
「涼宮! いや違った! 涼! これからお前の源氏名は涼だ」
対してやる気の無いシャロウ。
「はあ」
「ぼんやりすんな! ヘルプが入れば卓で酒を飲む。とにかくいかに自分は酒を少量で済まし相手に大量に飲ませるか、または見られないよう隠れて捨てるかだ」
「大丈夫です、酒強いんで」
「そうかあ? 不安だぞ?」
「指名入ったんで行ってきます」
「ってその人はテキーラ観覧車常連のーー」
一方で、
キャバクラ【クリスタル・ダイヤ】の方は。
ハヴィングはオッさんの手首を掴む力を強くする。
「お兄さん、今胸触ろうとしたでしょ」
「胸くらいなんだ! 金払ってるんだぞ!」
「出禁にしますよ」
「すんまっせん! 出禁は勘弁して下さい!」
セクハラ被害のキャバ嬢はハヴィングを見つめ(カッコイイ••••••♡)とトゥンクしていた。
ホストクラブ【クローバーブラック】。
「凄いなアイツ」
「何杯目だよ」
「アレで正常なのが怖い、全然酔った所を見せない」
ハヴィングとシャロウは改造人間の組成人間である。
そのためアルコールは毒と看做され分解される。
シャロウの周りには酔った女性たちが寝転んでいる。
シャロウが新人なのをいいことに飲ませたが最後潰されたのは女性側である。
「すげえ」
「あのこの女性たちどうすれば」
「しばらくしたら起きるぜ、起きなかったらオーナーの張り手を喰らうがな」
「はあ」
「いやでもお前すげえよ! No.1になれる器だわ!」
「興味ないんで」
「もったいねえー、まあジゴロ得意そうじゃなさそうだし」
(別にジゴロが得意じゃないのは知ってるし)
ややムキになるシャロウ。
【クリスタル・ダイヤ】では。
掃除に専念するハヴィング。
「読ちゃん、読ちゃん」
呼ばれた方に顔を向ける。
「読ちゃん、今日限りクビの代わりに」
「やっぱりそうですよね」
「男装ホストで働く気は無い?」
ハヴィングは秒でクビにされ、秒で仕事を斡旋された。
男装ホスト【コズミック・デビル】の紹介所が渡される。
「今からじゃ遅いから今日の日払い分は働いてもらうわよ」
「分かりました、食器洗い終わって床をモップで拭いたんであとは?」
「今回は新入祝いとクビを総じて新作パフェ作りをしたいと思います!」
「よっしゃ! 私抹茶味アイスとチョコミント味アイスが良いです!」
「••••••随分と尖った味覚ね」
朝帰り。
ハヴィングはお裾分けで貰ったアイスを皿に分けてあとは冷凍庫に入れている。
「不思議、VRでも味覚が鮮明なんて」
「ただいまー、今度は銃を向けて無いな」
「冷凍庫にアイスあるよー」
「何味?」
「チョコミント、抹茶」
「お前••••••」
ハヴィングは背中に殺意を感じながら「嫌なら食べなくて良いよ」「いや! 食う!」と抹茶味に手を伸ばす。
「初心者にはチョコミントが食べやすくてオススメです」
「••••••歯磨き粉」
「慣れたらハマる、特にチョコとのギャップが」
「そういやどうなった? キャバ」
「クビになった」
「はあ、はあ!?」
「まあ最後まで聞いて男装ホストを紹介されたの」
「男装ホスト、あるんだなVRでも」
「アンタは」
「••••••女を酒で潰した」
「アンタらしいや」
笑うハヴィング。
皿にチョコミント味のアイスを移しハヴィングの前に座るシャロウ。
「それにしても、歯磨き粉」
「美味しいじゃん」
「あとでコンビニ行くわ、流石に抹茶とチョコミントは無理」
「パクチー食えるやつが何を」
「パクチーはパクチーだろ」
「香水食えって言ってるようなもんよ」
「分かった分かった、ありがたく食います」
「別に恩着せがましく食えって言ってるわけじゃないけど」
「じゃあコンビニ行こう」
「漫画売ってるかなあ」
「AIが描いた漫画見た事無いのか?」
「あるけどさあ」
「なあせっかくだし酒、買わね? 現実だと未成年で弾かれるけどゲームだから」
「私、酒の癖が強い味が苦手、あ! カルーアコーヒーなら飲めるよ」
「人に味覚の事はとやかく言えないな」
「悪かったわね! 酒は飲めても味が苦手なの!」
「はいはい」
二人は食べ終わった皿を洗うとコンビニに向かった。
コンビニの入り口前にたむろしている
シャロウの連れハヴィングを見るや否や目の色を変えて近づく。
(ここってこんなに治安が悪いの?)
(さあな)
二人は背後から来た釘バットを躱す。
地面に打ち付けられた釘バットが地面にひびを入れている。
「おい、そこの男! 痛い目遭いたくなかったら女捨てて逃げな!」
「だとよ」
「えぇ? この数私一人で?」
「俺はコンビニに行きたい、コイツらの用はお前だ。カルーアコーヒーが売ってたら買ってやるから」
「わあっーたよ」
不良たちが肩を掴もうとするがシャロウは全ての攻撃を躱しコンビニに入った。
「可哀想だな彼氏に見捨てられて」
「彼氏じゃないんだけど、まあ良いわ。来な」
「調子乗るんじゃねえ!!」
横合いから来た拳を受け止める。
そのまま手を滑らせ手首を掴み武器として扱う。
自身より何倍もデカい人物を棍棒のように振り回す。
薙ぎ倒される不良。
「お、おいお前ら! 相手は一人だぞ!」
棍棒のように扱われる不良は目を回している。
一箇所に固まった不良たちに向かってボーリングの要領で投げる。
薙ぎ倒される不良たち。まるでボーリングのピンのように。
「ストライク!!」
拍手と共に背後からゆっくり近づく人物。
「おーおーやるねえお嬢さん」
ハヴィングは前髪を掻き上げると「アンタは?」と尋ねた。
「いや? 暴れている女プレイヤーが居るって聞いて興味本位さ」
(コイツが情報屋が言っていた近づく人物? いや
(だけど
「僕は下っ端のインテリヤクザさ、ビジネスヤクザと言って良いかな?」
「なるほど、女を男に斡旋する仕事ね。クソだわ」
「君に会いたいと言っている人物が居てね僕しか動ける人が居なかったから、来る気はある?」
視界に選択肢が現れる。
『ファミン・ハンガーの紹介
断りますか? YES/NO』
「連れは?」
「出来れば君一人が良いな」
YESを選択。
「分かった、連れて行きなさい」
高級車が猛スピードで車道に止まる。
「念の為、目隠しをさせても?」
「構わない」
ハヴィングは目隠しの状態で高級車に乗り込む。
高級車が去ったあと、「わりぃハヴィング、カルーアコーヒーは専門店にしか売ってないって、ハヴィング?」
そこには倒された不良たちしか残ってなかった。
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