第9話

「と、父さんに一体何が起きたってんだ?!」

「その星宗さまって、どんな人なんだ? 俺たち、探さないと」


 佳山も申し訳ないといった顔をして、俺が開いている手紙を覗いている。


 鈴姉……父さん……。


 一体?

 なんだってんだ!!


 光太郎は、歯ぎしりして、地団駄した。 


「落ち着けって、鈴姉は……もう無理かも知れないけど……。お前の父さんなら、まだ大丈夫かもしれないだろ? それに星宗っていう人に頼めば鈴姉が蘇るかも知れない!」

「……」

「さあ、帰るのだな。星宗さまは会えばすぐわかるだろう。あの人は、この世のものとは思えない存在じゃ。だが、鈴姉という人物……まあ、星宗さまに頼んでみればよかろう。じゃが、星宗さまでも、それは無理だろうな」


 光太郎は突然、手紙を握りしめて来た道を駆け出した。


「あ、何。お前だけで、責任感じてるだよ! 待ってくれよー」


 佳山も光太郎を追い掛けた。


 満点の星空から、流れ星が悲しそうに一筋落ちていった。


 光太郎はわけもわからずに、走る。


 鈴姉!


 今更ながら、責任を感じてしまう。

 もう少し、後もうほんのちょっとだけ、早くに鈴姉を庇うことができればよかったんだ。


 そうすれば……。

 いや、そうしていれば……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る