第8話

 その時、光太郎の目が紫色に怪しく光った。光太郎の視神経全ては、その時、境内の全ての動く生命体、物体、風、木々までもが察知できた。


「おおっ! なんか見えてきたぞ! この神社全体が……。あ、でも。その星宗さまっていう女の人は、ここにはいないぞ」

 

 光太郎は自分自身の脅威的に飛躍した感覚に驚いて、しきりに目を擦りだした。


「おお、すげえーぞ。光太郎!」

「……その星宗さまって人にお願いすれば、きっと鈴姉は……」

「お前たち……もしや、破壊汚水に触れているな。それに、生命がどんどん進化している」


 お婆さんは、ぶるぶると今度は震えるようになった。

 光太郎と佳山は顔を見合わせた。


 お婆さんは、ぶるぶると今度は震えるようになった。

 光太郎と佳山は、不審に思って顔を見合わせた。


「破壊汚水? もしかして、あの空から降ってきたカプセルに入っていた水のことなのか?」

「そうだ。その水を浴びると正体不明な生物になってしまい……死ぬぞ」


 光太郎は驚愕の表情になったが、すぐに頷いた。


「お婆さん。なんで、俺たちだけはその血塗れの得体の知れない生物? 正体不明な生物? に、ならないんだ?」

「異常進化だ。稀に身体が破壊汚水に瞬時に適応してしまうんだ。そして、姿、命、心はそのままなのだけど、あらぬ力に心身が目覚めてしまうんだ」

「へえーー、そいつはラッキー! カッコイイな」


 光太郎が感激した。

 佳山は「ヒューッ」と口笛を吹いた。


「若い人たち。そういえば、名前を知らなかったな。遥々、ここ星降る神社へ来たのに悪いが、ここでは、名前を言わないといけない決まりだ」

「え? ああ。梶野 光太郎」

「佳山 雄一」


「うん? 梶野? もしかすると、政府高官の梶野 誠二郎さんの息子さんかい?」


 お婆さんの驚きの声に、光太郎も驚いた。


「父さんの名前だよ。それ」

「ふっふっふ。あの政府高官の。なら、これを渡しておいたほうがいいな。いやはや、僥倖じゃ」

「うん?」


 光太郎はお婆さんから、血塗れの一枚の手紙を渡された。

 光太郎は手紙を受け取ると、破れないようにと、ゆっくりと開けた。

 その手紙は、血糊でべたべただったが、なんとか読める。

 文字は、父さんの筆跡で殴り書きされていた。


「今すぐ、星宗さまを探せ」

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