第6話

「ありゃー? なんか俺たち足速くないか? なあ、光太郎?」

「え? そうか? いや、確かに速い……」


 グングンと校舎を通り過ぎて、つくば駅まで来てしまっている。

 光太郎は佳山の顔色を覗いた。同じく疲れていないし、息切れもしていない。

 それでも、走る速さは更に速くなって行った。


 気がつくと、光太郎と佳山は筑波山まで来ていた。


「俺なんか体育の授業サボってばかりなんだよなあ? うーん? 光太郎はどうしてここまで来たんだ?」

「いや、なんとなくだ。って、お前だってそうだろ?」


 そのまま光太郎と佳山は、山頂まで獣道を走って行った。

 光太郎は自分の身に起きた事象。

 身体能力の変化をただ試したかった。


 佳山も内心そうなのだろう。と、光太郎は思った。だけど、いっそこのままどこまでも、走りたい気持ちだった。


 光太郎は、筑波山の山頂まで来て疑問に思った。


「あれ? なんか……夜になった……」

「あっれー、そうだよな。夜だよな」

「ひょっとして、あの空から降ってきたカプセルのせいなのか?」

「ううん……そうかな? でも、なんか色んないろの星空が広がりだして綺麗だぞ」


 光太郎と佳山は、空を見つめて、その美しさに自然と溜息を吐いた。

 瞬く間に流転する星雲から、一筋の流れ星がすぐ傍に落ちていった。

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