第6話 生徒会のお仕事
一触即発の空気だったが、意外にも南城はすぐ引き下がった。
そして一言……
「気が変わった。入ってやる。生徒会に」
と、言い残しその場を後にしたのだ。
西園寺はその後神邏に言った。
「明日ここに来い。生徒会の仕事の説明するからな」
そうして一日は終わった。
これからは西園寺の元でさらに実力をつけれるかもしれないと、神邏は少し期待していた。独学ではどうしても限界がある。故に自分より優れた才能溢れる人に指示を受けるのは理に叶っている。
♢
――翌日、生徒会室に向かった神邏。すると、ドアの前に人影があった。
南城と水無瀬、それともう一人……。神邏にはその人物に見覚えがあった。同じクラスの生徒だったからだ。
(確か……
しかし、神邏に対して当たりが強い素振りを見せる少年だった。
何か水無瀬と話してるように聞こえる。
「なあゆかりん! なんで急に生徒会なんぞに入る気になったんだよ!」
「……そのあだ名、止めろって言ってんでしょ……。入ったのは、ちょっと興味出たから」
「興味? おれらが生徒会気にくわないの知ってんだろ!」
「それが? 別に今まで入んなかったのもあんたらとは関係ないし……」
「まさか、美波の野郎と関係あるんじゃ!」
突然自分の名前が出たことに驚く神邏。何故自分がそこで出てくるんだと彼は思った。
水無瀬は視線をそらす。
「まあ、興味もった理由としては少し関係あるけど」
「ふ、ふざけんなよ! 許嫁とか親が決めたことって言ってたじゃねえかよ!」
「いや、別に認めたとかそういうわけじゃ……というか、仮にそうでもあんたに関係ないでしょ」
「ぐ、ぐぐ」
「みっともねえな」
腕組んで二人の喧嘩を見てた南城が口を開く。
「女取られた嫉妬か? 見苦しいにも程がある。別にてめえの女ってわけでもねえだろうが。いや、そもそもこいつが決めたことにとやかく言う権利ねえだろ」
「んだと! 部外者が!」
「部外者の前で雑音出しといてなにをほざく。おれ様達はアホの会長共待ってんだよ。生徒会以外のてめえこそ部外者だ。失せろ」
南城の一喝に圧され、北斗はしぶしぶ離れる。そして、神邏に気づくと……
――ひどくにらみつけて去っていった。
(そういえば、俺が劣化コピーになって成績上げてから特に態度悪くなってたな。あいつ)
おそらく、ダメダメだったときは見下して笑ってたのが、追い越して高みに神邏が立ったことで許せなくなったのだろう。
先ほどの許嫁うんぬんの話が事実なら、水無瀬が好きと思える北斗にとっては気に入らないのも当然の話かもしれない。
ただの嫉妬と思うとみっともない話だが。
神邏は別にそうは思ってはいないが、許嫁の件は初耳だった。
「水無瀬さん。今の話……」
「「待たせたな。お前ら」」
話の前に西園寺がやってきてしまった。仕方ないと話を止める神邏。
「とりあえずお前らにはいきなり生徒会の仕事を手伝ってもらう」
「腕が鳴るな。どんな妖魔だ?」
――と、南城は問うが……
「学園周辺の清掃だ」
「「は!?」」
この場にいる三人の言葉が噛み合った瞬間だった。
――つづく。
「次回 雑用」
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