2章 宇宙へ

第6話 アシュタール

「コング!」ちいとキューは歓喜した。

「大丈夫か?」ジルも心配した。

「よく来たな。アーリー、やるな」ドラゴンが言った。

「う~。疲れた~」

「ここは何だ。ドラゴン?」コングが言った。

「ここは神の国だ。時期に誰か来る。俺は運ぶのが仕事。じゃあな」ドラゴンは飛び立とうとした。

「ま、待ってくれ!なんの説明もないのか?」コングが狼狽した。

 ドラゴンが無情にも飛び去ってしまった。

コング、キュー、ちい、ジルは薄暗い宮殿の前で立ちすくんだ。

アーリーは涙ぐんでいる。

「どうした。アーリー」コングが聞いた。

「僕の役目は終わりました。皆さんと会えるのも最後かも・・」

「え!アーリー、どこ行くの?また会えるでしょ?」ちいが言った。

「皆さん、元気で。ありがとう。いつか、僕の事が懐かしくなったら・・ホイッスルを思い出して。夢の中で会えると思うから」アーリーは翼を広げ、羽ばたいて行った。

「アーリーどうしたのだろう?別れみたいに・・」キューが言った。

「ホイッスル・・吹いてみようかしら」ちいはホイッスルを吹いてみた。

しばらく、笛の音の余韻が残る。

アーリーが降りてきた。羽ばたいて。

「いや、早いでしょ・・吹くの・・」アーリーは気まずそうだ。

「アーリー、元気でな。またな」ジルが行った。

「もう、会えない感じなんだよ。じゃ~ね~。今度こそ」

アーリーは再び羽ばたいて行った。

「また吹こうかしら」

「もう、やめとけ。彼も困るよ」ジルが言った。

「あれ、あれは星?」ちいは遠くに光る地球に似た星を指さした。

「ホントだ。なんかあるね」ジルが言った。ジルは星を見たことがなかった。

「あれは、あなた達の星、マウル星だ」

突然、宮殿の中から人が現れた。

民族衣装のような姿の人だ。

「そなた達の勇気、見事である。私はアシュタールと言います。付いてきてください。案内する」

「うむ。付いて行こう」

 4人は宮殿の内部に入った。

大きな扉があった。

大きな音を立てて、扉が開いた。

「どうぞ。皆さん中へ」

皆が扉に入ると、ズシンと衝撃があり、振動した。

「むむむ!これは!」コングが側の柱につかまった。

「エレベーターね!小さい小窓から、昇っているのが見えるわ!」

「そう宇宙エレベーターです。ドラゴンがマウル星の大気圏を出た所まで、来てくれました。後はこの宇宙エレベーターで我々の基地まで移動します

「おい!ちんぷんかんぷんだぞ!俺は神の国でフルーツをつまみながら、女の人が踊っている所を、寝そべって過ごせると思ったのだぞ!」コングが言った。

「コング・・そんな考えを・・」キューが言った。

「よかろう。宇宙エレベーターは到着まで少々時間がかかる。説明しましょう。たしかに宮殿が無事な時は、あなたが言ったような楽園のような所はあった。だが過去だ。今はない。攻撃されたのだ。あなた達事は知っています。黒の国の魔物を撃退された。早くからあなた達に来てもらいたく、時間と空間をコントロールしていました。アーリーも神の鳥です。あなた達を助ける為、私達が送り込みました」

「アーリーは無事?」キューが言った。

「大丈夫。もう役目が終わって神の所へ行きました。ここまで皆さんが到着するまでの役目の鳥です。黒の国のボス、バロンは宇宙の支配者の手先です。宇宙にはまだまだ大元の悪がおる。今、我々は大事な局面にいる。黒の魔族、ジリア―族星人が宇宙を支配している」

「あの・・ここは地球ってありますか?私の住んでいる地球は・・」

「ちいさんですね。あなたは違う宇宙から来たのです。ミンク―の国とあなたのいた地球。まったく違う宇宙です。宇宙はたくさんあります」

「火星、水星、月とかも?」

「そうです。違う宇宙です。だが、あなたの銀河系の宇宙にも我々は精通しています。多くの仲間がいます。そして・・」

ド、ドドン!エレベーターが激しく揺れた。

「まずい。上昇中に敵の攻撃が来てしまった」アシュタールが外と見て言った。

「エレベーターを停止せねば・・」

小窓から爆発している炎が見える。

コングはマスターブレードを肩からおろし、握りしめた。

ジルも弓矢をだした。



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