第12話
「アスタリ王女が。自分を!?」
「間違いなくこれは王族からの手紙よ!」
いつも通り修練を終え、家に帰宅すると母が珍しく興奮していた。
信じられなかった。
四大貴族から落ちた、それもその原因である俺が王女から指名されるなんて。
その後、俺は皇宮へと向かった。
そこには、三大貴族の当主達がいた。
特に何か言われるわけでもなったが恨めし気な目を向けられた。
俺が王様の前に姿を現す。
王様は威風堂々と座り、玉座にいた。
「王様、アスタリ王女からご指名を受け、大変光栄に思います」
「アスタリはお前を婚約者候補に考えている」
「お言葉ですが、何故自分なのでしょうか?私は自分が相応しいとは思っていません!」
魔力無しで四大貴族から追放された自分だ。
王女の婚約者としての器があるとは思えない。
「決まったことだ。決定は覆らない」
「そ、そんな」
「アスタがお前を選んだ理由があるのだろう」
そういえば心当たりはある。
例の森の一件だ。
もしかしたらその感謝のつもりなんだろうか。
だとしたら迷惑な話だ。
俺は別に何かされたくて助けたわけではない。
それにこの事で何か嫌な予感がする。
「もうすでに決まった事。お前もグダグダ言わずに腹をくくることだな」
王様はそう言って俺の前から去って行った。
「はあー、何か大変なことになってきたぞ」
▼
「どうしてあんな落ちこぼれに…」「何か卑怯な手を使ったに違いない!!」
「なら私達も手段を選ぶ必要はないでしょうな」
「そうだ、ソーレを殺すぞ」
三大貴族の当主達はお互いに顔を見合わせ、暗い笑みを見せるのだった。
貴族の俺は魔力無し。そんな俺がお前達を見返すまで…。 タコツボ @teniss
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