第11話

「あのステファノン家のソーレが王女に城へ招かれるらしいぞ!」

「ありえない…。四大貴族から没落した負け犬が」

「そもそもあの男は魔力が無いはず」

「一体どんな卑怯な手でアスタリ王女を篭絡したのか」

貴族と王宮の間ではこの話題で持ちきりだった。

とりわけこの事に納得いかないのが四大…いや三大貴族の当主たちであった。

なんと彼らは王の元へ足を運んだのだった。

「王よ、一体何故あの様な下賤の者が王女の婚約相手に!?」

「納得いきませぬ!」

「何卒もう一度考え直してはくれませんか!」

玉座に座る王は彼らを見下ろす。

「此度の事はアスタリの希望に委ねている。お前達がどうこうできる話ではない」

王はこともなげに言った。

「しかし、ソーレは魔力もろくに無く、それ故に四大貴族から追放されたのですぞ!」

「別に魔力がないからといって婚約者になれないわけではない」

「しかし…」

「お前達の息子がそこまでの器ではなかったということだ」

王は冷淡に言い放った。

それには思わず、三大貴族の当主達もたじろぐ。

「王様、ステファノン・ソーレが参りました」

側近の従者が告げる。

「分かった。お前達が何を言おうと結果は変わらない。さっさと去れ」

王に言われ彼らはそそそくさとその場を後にした。

側近の従者が口を開く。

「しかし、あの者達の言い分も一理あります。いくら王女が決めたこととはいえ、落名した貴族の跡取りと婚約を結ぶなど…」

「娘は見る目のある子だ。本当に何も取り柄が無いのなら婚約相手には選ぶまい」

「分かりました」

従者はそのまま引き下がった。

「しかし、あのステファノン家の者がな…。一体どうしてアスタリが言う様に強くなったのか理由はわからんが、中々面白くなってきたではないか」

王は一人ほくそ笑んだ。

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