第10話
アスタリ王女は寝ころびながら暗雲の森の出来事を思い返していた。
「大変な目に遭いましたわね…」
此度の歓待パーティーは国の事情に左右される重要なものである。
なので、自分の本意でないものと結婚しなければならないことも理解しているつもりである。
それでも、やはり自分にとって理想とする相手が貴族の中からいるのではないかと考えていた。
だが、実際に会った貴族、次期後継者たるお方達は下品且つ不快感の強かった。
皆、自分の胸元ばかり見ていて、挨拶の際は手の甲に執拗にキスをしてきた。
その中で好印象だったのがソーレという少年だった。
王女がソーレをダンスに誘うと周りの者たちは嫉妬に狂った様な目をしていた。
パーティーの後、あの俗にまみれた者達は王女に積極的に接触しようとしてきた。
高価なプレゼントをしたり夕食に誘ってきたりと色々とあの手この手でアスタリを堕とそうとしてきた。
「アスタリ王女!是非、私と一緒に森へモンスター狩りに行きましょう!」
その中でも不快感か強かったのがハウスという男だ。
三大貴族の跡取りだが、この男は器ではないだろうか。
現にあの男は、森にて幼稚じみた振る舞いをし、自分の技量が分からないまま、危険な暗雲の森へ進み、その挙句バケモノに遭遇し一目散に逃げる。
愚かしい。あの男と結婚することは決してない。
「大丈夫ですか、アスタリ王女…」
アスタリを助けてくれたソーレという少年はあのバケモノをあっさり倒してしまった。
「は、はい…大丈夫です」
アスタリは無様にも少年のしがみつき、震えていた。
そして、ソーレは優しく背中を撫でて慰めてくれた。
回想から戻り、自分の頬が熱くなってるのが分かった。
「ソーレさん…」
思わずソーレの名前を口にしてしまう。
彼の事を思い出すとなぜか胸が高鳴る。
「もし、結婚するならソーレさん…」
ソーレと結婚する。
それを頭の中で思い描いていても他の者とは違って不快感はなかった。
そして、アスタリはソーレとの結婚を真剣に希望している事を王に打ち明けた。
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