本屋の想い出
クライングフリーマン
本屋さん
本屋の想い出
私には、2度、「本屋さん」だった経験がある。
2度目は、1度目より黒歴史だったから、お披露目するのは、今は躊躇ってしまう。
1度目は、東京から離れる前のこと。
その本屋の真の経営者は、「キャ〇レー王」と呼ばれた人物で、たまにテレビにも出ていた。
演劇の道を止め、彼女と一緒になるために、「初めて」会社員になった本屋で、オーナー(会長)は、道楽でコミックを集めていた。
趣味が高じて、コミック専門店を開くことになった。義理の弟を社長にして。
「キャ〇レー」の系列だと、集客しにくいと考えたようだ。
「大人の楽しみ」繋がりで、既に「ビニール本屋」を出していたので、その系列傘下でコミック専門店はスタートした。
販路(問屋との付き合い)はあったから、仕入れは簡単だったが、元キャ〇レー店を改装するのは思った以上に時間がかかった。
突然クビになったキャ〇レー嬢が押しかけてきて、クレームを言って来たが、私達には、どうしようもなかった。
ビニール本屋は、半分水商売だが、コミック本屋は「カタギの商売」。
結局、残業代も出なければ、給料も遅延気味だったから、私は退職して、「クニ」に帰った。
寄道せずに、クニに帰れば良かった、と後悔はしたものの、得る所はあった。
本屋の知識経験と、「人間関係」は、後の私の歴史に役立った。
そして、一旦?演劇界と決別した。
今はどうなっているかは知らない。しかし、数年後、上京した時、店は流行っていた。
創業期のメンバーは、社長以下全員いなくなっていたようだ。
会長は、「案外」長生きした。「豪放磊落」で、私には常に紳士的だった。
「敵でない人間」には、優しい人だった。
後に、「嫌いな上司」に巡り会う度に思い出した。「立志伝上の人物」を。
どんな立場、どんな収入でも、最終的には「性格」だ。
だから、小物は相手にしない。大きな教訓を得ているから。
―完―
本屋の想い出 クライングフリーマン @dansan01
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