第9話 ドラマ、出てくれへん?
結局あの後ドラマは最後まで見た。やはり演技というものはすごいな。立ち振る舞いから雰囲気まで、何から何まで全て別人かのように思わせれる。……あ、そういえば今日真奈穂に感想を言わないとな。流石にクラスに他の人もいるだろうし……私も一芝居打つとするか。
「お、早いやん。おはよ、秋菜。昨日のドラマ見てくれた?」
「おはよう真奈穂ちゃん!うん、全くの別人みたいでびっくりしちゃった!」
「なんで……ってあー、そゆことね。じゃ、ちょいと場所変えよか。待ってな、すぐ準備終わらせるで」
流石真奈穂、察しが良くて助かる。……で。何故誰もいない場所がトイレになるのか。
「察しが良くて助かるよ、真奈穂。ちなみに冗談抜きで凄いと思った。明らかに私の知る真奈穂ではなかった」
「演技っちゅーんは基本そういうもんや。っていうか、あんたも常日頃からしてるやろ」
「お前以外には一切見破られていないがな」
「……あ、せや。うちから一個提案……っていうか頼み事があんねんけど」
「なんか嫌な予感がするが……一応聞いておくか。その提案とは一体?」
「ドラマ、出てくれへん?」
「……は?」
私にドラマの出演依頼だと?いや、まぁ演技力を見込んでのことならばわかるがそれくらいならば私以外にも沢山いるだろ。
「まぁ構わんには構わんが……何故私に?」
「あんたしかおらんのよ。何せ、うちの今まで関わってきた人間の中でいっちゃん演技上手いんやし。それこそ、ほんと並の俳優よりかは演技上手やと思うよ。それに……秋菜、あんたアイドル目指しとんのやろ?」
「ん?あぁ、そうだが」
「なら知名度の下積みやと思えば多少は乗り気でやれるんちゃう?」
「知名度の下積み……か、そうだな。よし、じゃあ出よう。詳しい概要を聞かせてくれ」
「あい、がってん」
どうやら、次の話から登場してくる巴の友達ポジションの水無月
「ってな訳で早速監督に挨拶するから、今日この後うちについてきてくれや」
「別にいいが……今日も夏芽と帰る約束をしてるからな。夏芽にそれだけ伝えたい。……ついてきてくれ」
「あいあい。……知ってるか?本当は中等部の生徒が高等部の校舎に出入りすんのってあんまよろしくないんやってさ」
「昨日普通に待ってたが、特に何も言われなかったぞ?」
「それは……知らんわ」
真奈穂を連れて、高等部の校舎まで歩いていき夏芽の教室まで行く。
「……あれ?君、中等部の生徒だよね。どうしてここに?」
「えっと……夏芽先輩に用事があってきたんですが……」
「わかった、夏芽だね。……ナツ~!お客さん!」
「お客さん?って秋菜!……と真奈穂ちゃん、だったよね?」
「夏芽先輩、初めまして。花飼真奈穂です」
「もう秋菜から聞いてると思うけど、私は春陽夏芽。よろしくね。で、用事って?」
「えっと……ここだと言いにくいから場所変えたいんだけど、いい?」
で、また場所を変えたわけなんだが……なんでまたトイレなんだ!っていうか……真奈穂も夏芽の前だと演技するんだな。
「それで……どうかしたの?」
「あのね、お姉ちゃん。実は……」
「って訳で、今日ちょっとだけ秋菜を借りていってもよろしいでしょうか?」
「えー!?秋菜もドラマ出るんだ!うん、全然いいよ!秋菜、頑張ってね!あ、あと……真奈穂ちゃんも、昨日のドラマすっごい良かった!応援してるね!」
「はい、ありがとうございます!」
……なんか。夏芽ってとにかくキラキラしてる気がする。例えるなら……そう、聖剣に似たような感じだ。多分、夏芽の話を聞く限りだとあの性格も冬華から来てるんだろうな。
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