第6話 そういえば学校ってどうするの?


一週間ほどが経過した。あれから夏芽のアイドルレッスンに混ぜて貰えるようになり、絶賛今もしている最中だ。とりあえず今は冬華の曲の振り付けを覚えている。


「ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー……秋菜、そこもうちょっと早くできる?」

「早く……えっと、こう?」

「あ、そうそう!やっぱり凄いよ秋菜!一週間でここまでできるなんて!しかも、冬華姉の曲の振り付けって難しいやつばっかなのに!」

「えへへ……本気で頑張ってるもん」


やっぱりいいな、人に褒めてもらえるというのは。それも、相手は姉として慕っている夏芽だし、アイドルには欠かせないダンスの部分で、だ。嬉しくない訳がないだろう。あぁそうだ、そういえば夏芽に聞きたかったことがあるんだった。


「そういえばお姉ちゃん」

「ん?夏芽、どうしたの?」

「私って学校どうするの?」

「あぁ、学校ね。それなら心配いらないよ。私が通ってるアイドル志望育成学校みたいなところがあるんだけどね、そこの校長先生っていう学校で一番偉い人とと私、結構仲が良いんだ。まぁ、冬華姉のおかげなんだけどね。だから、私が話せば何とかなると思うよ!っていうか……もう話してあるんだけどね」

「え?でも、私十四歳だよ?確かお姉ちゃんくらいの年は高校って場所なんじゃないの?」

「えっとね、うちの高校は中高一貫なんだ。それに本当なら親というか保護者が必要なんだけど……それは全部私がやるからいいよ」

「ありがとう、お姉ちゃん。それと……中高……一貫……?」


夏芽がいうには、中高一貫校というのはその名の通り、中学校過程?と高校過程がセットでついている学校らしい。中学校を中等部、高校を高等部と表すらしいのでこの場合、夏芽は高等部一年、私は中等部二年になるのか。


「だから、秋菜も行けるんだよ!まぁ、私は高等部で秋菜は中等部だからそう簡単に会いにはいけないんだけどね」

「大丈夫だよ!お姉ちゃんとはこうして会えるし、お姉ちゃんがいなくても頑張れるから!」

「うんうん!頑張れ頑張れ!」


さて、学校の問題はなんとかなったな。初めてでわからないことは多いとは思うが……まぁ、私らしくやっていこう。大丈夫、うまくやれるはずだ。


「っと。もうそろそろあの人が来るはずなんだけど……」

「あの人?」


と、私が疑問を浮かべたとき、ピンポーンとインターホンが鳴った。


「あ、来た。今でまーす!」

「えっと……だれか来るの?」


いやまぁなんとなく察しはついている。あの会話の流れからしたら……


「ん?校長だよ」


……だよなぁ。校長だよなぁ。

そして夏芽と一緒に金色の髪にめがね……だったかをつけた男が入ってきた。

そういえば今更ながら、夏芽は薄黄色……確かクリーム色だったか、の髪をしている。あと目は桃色。


「夏芽ちゃん、この子が秋菜ちゃんだね?」

「うん、そうだよ」

「……とても可愛いじゃないか!初めまして、秋菜ちゃん。僕は四季学園というところの校長をやってる、時谷慎吾ときたにしんごだよ」

「初めまして……えっと、春陽秋菜です」

「にしても、こんなかわいい子を拾ってくるなんて。とことん冬華ちゃんにそっくりだね」

「冬華お姉ちゃん?」

「この人は冬華姉の元マネージャーさんなんだ。だから、今も私を受け入れてくれてるの、アイドル志望としてね」

「あぁ、そうだった。そういえば秋菜ちゃんの入学についての話だよね。単刀直入に言うと、全然いいよ!ていうかこんなかわいいアイドル志望の子をお断りするなんて勿体ない!」


この人、かなりいい人だな。私に関しても特に‘可愛い‘だけでそれ以上は何も言わないし、快く受け入れてくれる。この一週間で夏芽にいろいろ聞いたのだが、私は戸籍というものがどうなっているかわからないらしいので絶対大変なことになるんだろうけど……それでも普通に受け入れてくれる。


「そういえば校長に見せたいものがあるんだ!秋菜のすごさを見てもらいたいの!」

「ほう!それは興味深いね!是非とも見せてもらいたい!」

「ってことだから……秋菜、おどろっか。冬華姉の曲」

「え、やるの?いいけど……」


何気に人前で踊るのは初めてか。まぁ、初めてだしな。特に深く気にせず、ダンスの楽しさに身をゆだねていればいい。


「……それじゃあ流すよー!」

「お、お願いします!」

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