僕のナンパ!①
崔 梨遙(再)
1話完結:1500字
それは、僕が30代の前半の時のお話。僕に決まった恋人がいなくて、1番遊んでいた頃。もう10年以上前のお話です。
或る土曜日、僕は繁華街で買い物をした。買い物をした後でブラブラしていたら、懐かしい名古屋弁が聞こえて来た。僕は1年くらい名古屋に住んでいた事がある。(以降、名古屋弁を忘れたので標準語で書きます)
見ると、30代半ばくらいの色気のあるお姉さんが小学校の中学年くらいの男の子を連れて歩いていた。子供の年齢は、よくわからないが。
“あ、この女性、きっと旦那さんがいない!”
直感でわかった。僕は迷わず声をかけた。
「名古屋からですか?」
「ええ、そうなんです」
「今日は旦那様は?」
「旦那はいません、バツイチです」
「ほな、旦那様に気を遣う必要は無いんですね。僕が大阪を案内しましょうか?」
「え、いいんですか?」
「構いませんよ」
「じゃあ、お願いします」
「特に行きたいところってありますか?」
「テーマパーク」
「ああ、あそこに今から行くのはやめた方がいいですね。今日はもう時間が遅い。明日、朝から行きましょう。他に行きたい所は?」
「お任せします」
その女性は、こづえという名前だった。顔は美人ではないのだが、色気があって充分魅力的だった。スタイルも良い。胸はあるのに腰はくびれている。一緒にいると楽しい。大阪の街を練り歩き、宿泊するホテルまで送った。
「ほな、明日の朝に来ますから」
「まだ帰るには早い時間だから、部屋に来たらどう? 少し話しましょうよ」
この時点で、“これはチャンスだ!”と思った。
部屋に入ってしばらく話をしていたら、息子の隼人君がいびきをかいて眠った。この時を待っていたのだ。僕はこづえを口説いた。こづえは、口説かれ上手だった。こづえの裸は、想像以上に魅力的だった。
“さあ、これからだ!”
と思ったら、こづえがまさかの言葉を言い放った。
「隼人、起きなさい! お母さんを見なさい!」
「おいおい、何を言うてるねん! 寝た子を起こすなよ!」
隼人君が目をこすりながら起き上がる。僕は、脱ぎかけた服を慌てて着た。
「どうしたの? しようよ」
「子供が見てる前で出来へんわ!」
僕は、誰かに見られていると出来ないのだ。
翌日は朝からテーマパークに行った。そこでいろいろな話を聞いた。3年前に別れた旦那から貰った慰謝料で遊んで暮らしていること、隼人が不登校で困っていることなど、家庭の事情を聞かされた。
そして、土日に隼人の家庭教師をしてくれないか? と頼まれたのでOKした。その晩にこづえ達は帰って、次の土曜にこづえの家を訪れた。隼人に勉強を教える。隼人は、頭は悪くなかった。物覚えはいい。だが、集中力が無かった。スグに遊ぼうとする。まずは集中力を身に付けさせないといけない。
そして、楽しみにしていた夜。寝室には2つのシングルベッド。その内の1つに隼人が寝る。隼人が寝静まってからこづえとのお楽しみタイム。だが、こづえを脱がせたと思ったら、またこづえが大声を出した。
「隼人、起きなさい! 隼人、お母さんを見なさい!」
起き上がる隼人、僕は慌てて服を着た。
「どうしたの? しようよ」
「子供が見てる前で出来へんわ!」
「見られながらするのが気持ちいいのよ」
「それって、隼人に対する性的虐待やで!」
それから2回、隼人の家庭教師をしに行ったが、やっぱりこづえが隼人を起こすので、結ばれることは無かった。そして、こづえの家に行くこともなくなった。
スゴイ性癖だ。隼人が健全に成長するように祈った。実は、これに似た経験がもう1回ある。子供に営みを見せる性癖は、意外に珍しくないのだろうか?
僕のナンパ!① 崔 梨遙(再) @sairiyousai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます