僕と風俗嬢!⑨
崔 梨遙(再)
1話完結:1000字
その風俗嬢は、凪子という名前だった。凪子は写真指名用の写真と大きく違っていた。写真ほど、美人ではなかった。僕はガッカリもしない。よくあることだ。パチンコに行って負けたときと同じ気分だと思えばいい。
ということで、僕はパチンコで負けた気分で凪子とホテルに入った。ところが、凪子はトークの上手な女性だった。話していておもしろい。楽しい。思っていた以上に盛り上がることが出来た。こんなに楽しいなら、凪子と一緒にいるのも悪くない。
寝物語として聞いたが、凪子はリピーターが少ないのが悩みらしい。まあ、あれだけ写真とのギャップがあれば、リピーターが少ないのは当然だろう。だが、凪子にはトークセンスがある。外見ではなく、内面を気に入ることもある。僕は。また凪子に会いたいと思った。
僕は、何回か凪子を指名した。凪子は喜んでくれた。喜んでくれたせいか、スグにプライベートで会うことになった。ランチ、カラオケ、ディナー、そして、なんと凪子の方からホテルに誘ってくれた。
「ホテルに行ってもええの?」
「うん、私、実はHが好きやねん」
プレイが始まった。僕には気になることがあった。明らかに、凪子が悦ぶ演技をしていることだ。演技していることがバレバレ、凪子に演技力は無かった。演技をされるのが寂しくて僕は言った。
「凪子、演技してるやろ?」
「あれ! バレた?」
「うん、バレバレ。僕に対して演技なんか要らんやんか。水くさいで」
「演技する必要無いの? でも、私、演技しないとめっちゃマグロやで」
「ありのままでええやんか、変な気遣いは要らんで」
「わかった。もう、演技せえへんから。ありのままの私を受け入れてな」
「うん、演技は終わり。気を遣わないで楽しもうや」
「……」
「…………」
「………………」
「……………………」
なんだこれは? お通夜か? 葬式か? 静か過ぎるぞ!
「…………………………」
「………………………………」
「……………………………………」
「…………………………………………」
「………………………………………………」
「……………………………………………………」
「…………………………………………………………」
「………………………………………………………………」
「……………………………………………………………………」
「あ」
「何?」
「イク」
「…………」
僕と風俗嬢!⑨ 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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