ex0 救えなかったヒロイン達 前編【注意喚起あり】
どうもHaluです。
本当に救いはないです。
本編が救いです。
一気に全員分書こうと思ってマイルドにしたはずなのに、思ってた以上に私へのダメージが大きかったので前後編くらいに分けます。
続きは近日投稿予定です。多分。
ではどうぞ。お気をつけください。
――――――
『ボクだって女の子らしく……』
「ねえ知ってる?あの女陸の1年の噂……」
「知ってる知ってる!てか私見たんだよね!その現場!」
「マジ!?」
放課後の教室。残っている生徒は噂好きの女子2人。今日も今日とて教室の隅っこでとある噂話に花を咲かせていた。
「マジマジ。いやまさか同じ学校にパパ活してる子がいるなんて思わないよね」
「ね!女陸の友達に聞いたんだけどさ、最初は真面目な子だったらしいよ?いやぁ分かんないもんだねぇ…」
噂の人物とは同じ学校の女子陸上部のとある女子生徒。その生徒が最近明らかに親子ではないだろう相手と遊んでいる姿が度々目撃されていた。同じ相手ならまだしも、話を聞くたびに相手が違う。しかもそれだけではない。最近は男子陸上部が何やら不穏だという噂も流れつつある。
「やっぱさぁ…そういうことなのかなぁ?」
「んー……あんまり関わりたくないよね。先生達もそろそろ動くだろうしさぁ」
いくら噂が好きとはいっても面倒事に巻き込まれたい訳ではない。そう思って他の話題に切り替えようとした2人がいる教室の扉が勢いよく開いた。
「センパーイ?いますかー?」
「「っ!?」」
扉を開けて現れたのは何の偶然か噂の女子生徒。髪は長く、学校だというのに軽くメイクをしている。部活の開始時間は過ぎているはずなのに未だに制服姿で、誰かを探しているようだった。
「あっれおかしいなぁ……」
「……誰か探しに来たのかな」
「………あれじゃね?啓介とか?ほら陸部じゃん」
「え?あ、啓介センパイを知ってるんですか?そっか同じクラスですもんね」
「ひゃっ…ひゃい!?」
偶然にも現れた噂の人物。危ない橋を渡っている人物とは思えないほどに人当たりがよく、パパ活なんてしてるとは思わないだろう。だが2人にとってはそれが逆に怖かった。こそこそ話を聞き逃さず、瞬時に駆け寄ってきたその人物に対して驚きの声を上げてしまうのだった。
「どうしたんですか?わたしの顔に何かついてますか?」
「あ、いやっ……かわいいなって!ね!」
「そうそう!すごいかわいいね!」
「…………ありがとうございます。先輩達もかわいいですよ」
苦し紛れの答えに対し、噂の生徒は明らかなお世辞で返した。かわいいなどと言っているがその目の奥に潜む闇からはそれが本音などではないというのがハッキリと伝わってきた。
「おい。こっちだぞ世良」
「あ、センパァイ。どこ行ってたんですかぁ?」
「ちょっとトイレにな」
「えぇ勿体ないなぁ。わたしを呼んでくれてもよかったんですよぉ?」
廊下の方から陸上部の男子に声をかけられた世良と呼ばれた人物はうざったいほどの猫なで声ですぐさま男の方にすり寄っていった。そしてそのままどこかへと去っていき、その2人の話し声が聞こえてこなくなってからようやく噂好きの2人は大きく息を吐いた。
「やっば……なんか怖かったんだけど」
「ね。……てかやっぱ会話おかしいよね?」
「…………聞かなかったことにしよ」
「……そうだね。帰ろっか」
それからしばらくして男子陸上部は廃部となることが決定した。理由は知らされてない。だが生徒の間に流れてきたのは、例のかわいい女子が関わっているという噂話だけだった。
―――――――
『砕ける信念。堕ちる正義』
拝啓。これを読んでくれている誰かへ。
これを誰かが読んでいるということは私はもう既にこの世には居ないのでしょう。願わくば大好きなお父さんとお母さんが最初に読んでくれていたら幸いです。
まずは最初に謝らせてください。
こんな不甲斐ない娘でごめんなさい。大好きな2人に何の相談もせず、勝手に決断してしまってごめんなさい。でも私はもう2人に合わせる顔がありません。不釣り合いな正義を掲げ、口だけの信念を貫こうとした結果がこれです。私は誰一人として守る力なんてありませんでした。真っ直ぐに生きていれば人生は報われる。私の考え方とは違う人も変わってくれるとそう信じていました。
でも、人は変わりません。お父さんやお母さんから教わった全てに意味はあったのでしょうか。悪い人は悪い人のまま。正直者が馬鹿を見る世の中なんじゃないでしょうか。
だから、ごめんなさい。
私は、最後の最後で大好きな2人を疑ってしまいました。もう合わせる顔がありません。
今までありがとうございました。大好きです。
栞より
この両親が部屋の引き出しに隠してあった手紙を見たのは大好きな娘が冷たくなり動かなくなってしまった姿を見た数日後だった。
その後、両親は娘を追い詰めた犯人は逮捕することには成功するのだが、愛する娘を失ったという痛みが消えることは決して無かったのだった。
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