マニック・マンデー 4

「というわけでゲーム内存在だったエイミィは、ここにはもう存在しません」

「で、ではなんと呼べば?」

「The lady formerly known as amyとお呼びなさい」

「長い、長いよエイ……元エイちゃん。ビートに抱かれそうだよ!」

「意外とノリいいわね。……じゃあ、ヘブライ語にならって母音(作者の疑問:aはどうなの?)をとったアムでいいわ」

「え、ボインを⁉︎」

 手を伸ばそうとするタクミにメッをして、元エイミィことアムはバインダーを睨んだ。

「復唱して!」

「え?」

もうせの十戒!」

「え?」

「申せの十戒!」

「も、もうせのじっかい!」

「いち、踊り子さんには手を出さないこと!」

「いち、踊り子さん(踊り子さん?)には手を出さないこと?」

「に、脱ぐことを期待しないこと!」

「に、脱ぐことを期待しないこと……え、さっき下着」

「さん、息を吹きかけないこと!」

「すが……さん、息を吹きかけないことなにこれ?」

「よん、匂いを嗅がないこと!」

「よん、匂いを嗅がないこと!」

「その調子! ご、写真を撮らないこと!」

「ご、写真を撮らない、え、撮らな」

「撮らない!」

「——こと」

「ろく、録音しないこと!」

「ぷ」

「吹かないで復唱!」

「だって韻踏んで」

「ろく‼︎」

「録音しないことッ‼︎」

「なな、動画を撮らないこと!」

「なな、動画を撮らないこと!」

「はち、欲望に忠実であること!」

「え」

「はち、欲望に忠実であること!」

「はち、欲望に忠実であること……!」

「きゅう、我慢はしないこと!」

「きゅう、我慢はしないこと!」

「じゅう、ここのつのいましめをひとつでも破ったときは、そこで終わること!」

「え、……なんて?」

 すっと元エイちゃんことアムが距離を詰めて、タクミの頬に手を当てた。

「守れなかったら、そこで終了ですよ、ってこと」

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