第4話 北斗と楓
仕事の外出先からそのまま帰宅した北斗は、ひたすら頭を悩ませていた。いつもは適当に音楽を流しながらご飯の支度をしたり掃除をしたりする彼女だったが、今日は少しの音でもノイズとなっていた。
「遺書部か〜。軽々しく復活できるかなんて聞いちゃったけど、私はまた自分が相手にしている人たちの存在を軽く見ちゃったのかな。七海さん...。」
桂雄一郎の話を聞いて、すぐにでも行動しようと意気込んでいた彼女の心は揺れていた。
北斗にとって正しいことはなんなのか、そもそも正しい行いをすることが自分にとって『正しい』のか。彼女はそんなことをずっと考えていた。
「私って、ほんと人に影響されやすいなぁ。」
そう呟いた北斗は、スマホを手に取り音楽を流し出した。
北斗は寝る前にあの本を少しだけ読み返した。
他人の考えを自らの考えの中に組み込むことは、とても難易度が高い。これは、他人の考えを『そのまま受け入れる』のとは段違いの難しさである。他人と自分の違い、組み込むべき点と無視すべき点。多くの判断が必要となる。
そんな論理的思考が必要とされる一方で、精神面も考慮しなければならない。大きく心が傷ついている時、その傷口に効く甘い言葉や考えは、自分の精神と思考を浸食し狂わす。恋人と別れたばかりの優しい言葉が想いの矢印を変えてしまうように。
北斗は分かっている。この本を読み込めば読み込むほど、桂の思考が自分の頭の中を支配していくことを。自分で辿り着いたと信じたいその『信念』が、他人の借り物であるということを。
それでも、北斗は読み返す。ただカルテラで今の仕事を続けているだけでは、答えは見つからないと分かっているからだ。そして、彼女はもちろん自身の力で...答えに辿り着く...はずである...。
【週末】
「そうなんです!せっかく瀬奈さんの言葉で一歩踏み出そうと思ったのに、この本が!課長から聞いた桂って人の話がまた私を悩ませてしまうんですよー。」
ジョッキに入った生ビールを口に注ぎ込むような勢いで、果肉入りのオレンジジュースを一気に飲み干す。
ちょうど瀬奈が週末に休みを取れたらしく、北斗の家で夕飯を一緒に食べることになった。
「ちょっと北斗ちゃん、おじさんみたい、ふふ。」
「その言葉、今一番傷つきますぅ...うぅ。」
コップをテーブルに戻すと、25歳のおじさんはソファに仰向けで倒れ、膝下をパタパタと動かす。
「北斗ちゃん飲みすぎちゃった?なんかおかしいよ、面白いって意味でね。」
「うぅ〜、1本飲んだ後は全部ノンアルですぅ。」
「あら、これは相当参ってるね。」
「瀬奈さん、冷蔵庫にワイン入ってるので、飲みましょうぅ。」
瀬奈は呆れながらも優しく微笑んで、それから冷蔵庫へ向かい、ワインを取り出した。
「あれ、コルク抜くやつ、ある?」
「あ、そこですそこ、あいや、もう一個下。」
「お、あったあった。ちょっと待ってねー。」
瀬奈は2つのグラスにそれぞれ同じ量となるように丁寧にワインを注ぐ。冷蔵庫に戻すときに、ラベルに目をやる。
「あれ、これ結構いいやつじゃない?」
「あ、それ課長からもらったものなので。」
「ほほ〜ん。」
何かを察したのか、怪しげな笑みを浮かべた瀬奈を見て、北斗は素早く体勢を直した。
瀬奈がワインを持ってくると、2人は軽くグラスを交わした。
「瀬奈さん。私、七海さんに連絡するべきだと思いますか?」
「自分で決めたいんじゃないの?それに、私が言えることはもう言ってるよ。」
「そうですよねぇ。言ってみただけです。」
北斗は大きくため息をつく。数秒テーブルに突っ伏したあと、ゆっくりとまた起き上がった。
「私、分かってるんです。絶対に私は七海さんに連絡して、会って話そうとする。そこまでの行動は揺るがないと思うんです。」
「じゃあ、北斗ちゃんは何にそんなに迷っているの?」
「多分、また言っちゃう気がして。彼女を傷つける言葉。」
下を向いてそう話す北斗を見て、瀬奈は優しくゆっくりと頷く。
「分かったよ、北斗ちゃん。私が必ずフォローしてあげるから、まずは彼女と話してきな!」
「えっ、私そんな事言ってるように聞こえましたか...?まぁ、あながち間違ってないですけど...。」
北斗は七海楓に会って一体何を話すのか、楓に何を伝えたいのか。そのことについて瀬奈と話すことはなかった。おそらく、北斗が最も相談相手として信頼を置いているのが瀬奈である理由がそこにあった。
【翌日】
昼休みが近づく時間に、北斗は孝太のもとに向かう。
「あの、課長。」
「なんだ?喜多見。」
「あ、忙しかったら後で全然大丈夫です。」
「おう、このメールだけ送るから一瞬待っててくれ。」
孝太を待っている間に、北斗は『彼女』のカルテを戸棚から取り出す。
「で、なんだ?」
「あ、課長、ちょっとご相談が。」
「おうおう、どうした。」
「えっと、このカルテの子なんですけど。」
「あぁ、喜多見が対応したって子な。そんで、その子がどうした?」
いつもは何の躊躇いもなく孝太と話す北斗だったが、今日の様子はまるで違った。そんな様子を自席から見ていた鈴子は、パソコンの画面に集中しているように見せていたが、笑顔が全く隠せていなかった。
「七海楓さん。少し、彼女と話したくて。七海さん、死にたいって言ってここに来ました。でも1人じゃ死ねないとも言っていました。周りに迷惑がかかるからって。」
「そうか...。」
思いの外重い話だったからか、鈴子の笑顔が引いた。オフィスにいた他の従業員も、声は出さないまでも北斗の話に耳を傾けている。
「私から七海さんに連絡してもいいでしょうか?」
「どうして俺にそんな許可を取るんだ?」
孝太の目が少し鋭くなる。普段話す時には決して生まれない緊張感に、北斗は息を呑んだ。
「これがもし『仕事』であれば、課長の承認が要ると考えました。」
「そうか...。」
少し間が開く。孝太は、何を話そうか迷っている様子ではなかった。伝えることは決まっていて、後はどのように伝えるか。
「喜多見。それは仕事じゃない。うちが、『カルテラ』がやっていることじゃない、わかるな?」
「はい...。」
「だから俺の承認は下りない。」
「分かりました...。」
ちょうど昼休みの時間になった。耳を傾けていた他の従業員たちも立ち上がって各々昼ごはんへと向かう。
「ちょうど昼休みになったな。」
さっきまでの目が嘘のように、孝太の目が笑っている。北斗は変わらず緊張している様子だ。
「はい...。なりましたね。」
「いいか、七海楓の何かを変えようとするのはお前の仕事ではない。『仕事では』、な。よく考えて動けよ。」
そう言って孝太は立ち上がり、北斗の右肩を軽く2回叩いてオフィスを出て行った。
会話を聞いていた美帆が満々の笑みで駆け寄ってくる。
「あれ、カッコつけすぎだよね。課長、絶対今外で、『決まった』とか思ってニヤニヤしてるよ!あ〜こわいこわい。」
「あははは、どうですかね。」
美帆はわざとらしく両腕をさすって見せる。北斗の反応に手応えを感じなかったのか、その仕草をすぐに辞めると、いつもの表情に戻る。
「まぁキタちゃん、無理はしないでね。あと無理するなら言ってね。」
美帆は北斗の手をとり軽くゆすった。
「大丈夫です。今まで1人で無理できた試しがないので。」
「そっか。」
18時を回った。急に大きな雨音が聞こえ始める。
「お疲れ様です。お先失礼しますね。」
北斗は素早くパソコンの電源を落とし、帰る準備を進める。
「お疲れ。」「お疲れ〜。」
他のメンバーは何やら忙しそうな様子だが、北斗はそんな彼らを横目にオフィスを出る。
「あちゃ〜。土砂降りじゃん。」
慌ててスマホを取り出し、電話をかける。
「あ、もしもし、七海さん。ごめんなさい、待ち合わせは18時40分にしてもらっても良いですか?」
「はい、大丈夫です。少し時間潰しておきます。」
「ごめんね、なるべく早めに着くようにしますね。」
スマホを素早く閉じると、会社の最寄りのコンビニまで走る。多少濡れた程度で済ますと、急いで傘とタオルを購入し、コンビニを出た。
2駅ほど電車に乗り、駅から徒歩5分程度のカフェへと向かう。
ドアを開け店内へと入ると、土砂降りのせいか服が少しばかり濡れている客が散見された。雨宿りも兼ねて来ているようだ。
店の奥へと進み、一度だけ会った少女を探す。しかしなかなか見当たらない。
「あれ、七海さんはまだだったか。そんな急ぐ必要も無かったかな。」
そう呟いた瞬間、後ろから肩を叩かれた。
「はいっ!!」
突然だったからか、北斗は驚いて甲高い声をあげる。振り返るとそこには七海楓が立っていた。
「あ、七海さん!」
「すみません、お手洗いに行ってました。席あそこです。」
楓は一番奥の席を指差す。ひとまず2人でそこに向かった。
「私、コーヒー買ってきますね。七海さんは、何かいる?」
「私は買ったのでもう大丈夫です。」
「そっか。じゃあちょっと行ってきます。」
北斗は一番安いコーヒーを頼み、ものの1分で受け取って席へと戻る。椅子に座ろうとすると、楓の横の大きな荷物に目がいく。
「あの、七海さん。その荷物は?」
「え、あの、北斗さんが連絡をくれたので、死ねるのかなと思って。家出てきました。」
「えっ、えぇーー!?」
努めて声量を抑えたからか、周囲の2、3人が振り向く程度で済んだ。
「あれ、違うんですか?てっきりそういう理由だと思ってました。」
楓は人差し指を顎に当て、不思議そうな表情を浮かべる。北斗の顔は固まったままだ。目の前の少女が、冷静な口調で話す一方でいつも想定外の言葉を発するからだろうか。
北斗は数秒かけて落ち着いた表情を取り戻していった。楓に何をどう伝えるか、細かく考えてきたわけではない。そもそも楓に最初に電話をしたときは、生きているかすら定かではなかった。しかし、自殺というかたちはとらないと真っ直ぐな目で伝えてきたあの瞬間を、北斗ははっきりと覚えていた。だから連絡がつく確信があり、会うこともできると考えていた。
「ごめんね、あなたに何をしてあげられるか、まだ分からないんです。だから今日こうして話しに来ました。」
「でも、私を死なせてくれないのは変わらないんですよね。じゃあ帰ります。」
「えっ。」
楓のあまりにも早い判断に北斗は驚き、遅れをとった。しかし、幸運にも楓の荷物が多かったことで、彼女は去るのに手こずっていた。
北斗はチャンスと見るや否や、楓の手を取る。
「ちょっと待って!まだ土砂降りだし、雨弱くなるまででも少しお話させてくれませんか?」
「私、濡れるの嫌じゃないし、大丈夫です。すみませんが、手、離してください。」
楓は北斗の手を振り解こうとする。決して強引にではなかったが、北斗もそう強くは掴んでいなかったためか、簡単に解けた。
「ねぇ、帰る場所はあるの?家、出てきたんですよね?」
北斗の言葉に、楓の動きは止まり、黙っている。手提げのバッグを握る手の力が強まっていることが、北斗にも見てとれた。
「あの、」
北斗は言いかけた言葉の途中で一瞬思いとどまった。これから自分が聞こうとしていることは、赤の他人が踏み込んでいい範囲を超えているのかもしれない、と。力が入った拳に、彼女の強みも弱みも凝縮されている。今、北斗が問い詰めることは、人の心の隙間にインターホンも鳴らさず入り込むような醜い行いなのかもしれない。
それでも、『今しかない』と北斗の心が言っている。
「聞かせてほしい。七海さんが、どうして死のうと思っているのか。」
「そんなこと知って、どうするんですか。」
楓は突き放すように言う。
「だって、それを教えてくれないと、私はあなたをタダでは死なせてあげられないから。」
決して北斗の本心ではなかった。まるで言葉遊びのように、楓を話にのせるためだけのセリフだ。北斗自身も心が痛かった。楓もそうだろう。しかしこの痛みを敢えて経験しなければ、次はないと北斗は確信していた。
「ケーキ...。」
「ん?」
楓にしては珍しい細々とした声に、北斗は聞き返す。
「チーズケーキ、欲しいです。」
「え、あぁ、え?うん!わかりました。買ってきますね。」
突然のおねだりに困惑を隠せなかったことを後悔しながら、北斗はレジへと向かう。
「ダメだ、あの子に何言われてもこっちがポカンとしちゃう。それじゃ心開いてもらえないっての。」
小声で自分に喝を入れて、チーズケーキとミルクレープを頼んで支払いを済ませた。
「ご用意できましたら、席までお持ちしますね。」
「あ、ありがとうございます、お願いします。」
北斗が席に戻ると、すぐに店員がケーキを2つ持ってきた。ケーキをテーブルに並べながら、椅子の上の大きな荷物に店員の視線がいく。怪しいとまではいかなくとも、不思議な光景であることは確かだろう。
「ごゆっくりどうぞー。」
北斗と楓は軽く会釈をして、フォークをとる。
「はい、まずは食べてください!」
「いただきます...。」
食べる前は少しぎこちない仕草だったが、フォークが進むにつれて楓の動きはスムーズになり、幸せそうな表情もみられた。
北斗はその豊かな表情を見てホッとしているようだった。北斗にとっては、『死を願う楓』しか知らなかったからだ。他の客たちと変わらぬような一面を持っていることを確認できただけで、北斗は嬉しかった。
「美味しい?七海さん。」
「とても美味しいです。ありがとうございます。」
溢れ出る笑みを隠すように、楓は努めて真面目な顔をして答える。
「ケーキとか、ずっと食べられなかったので。」
「そっか。」
北斗の短い返事とともに、楓はフォークを置いた。それに合わせて北斗もカップをテーブルに戻す。
「私は、小さい頃に両親を失くしました。死んだわけじゃないです。失くしただけです。」
「うん。」
前に会った時、楓からある程度の生い立ちについては聞いていた。だが、あまりにも突然で衝撃的だったため、北斗はその話を断片的にしか覚えていなかった。
「しばらくは、母の実家で過ごしました。もちろん母はいませんが。優しかった...と思います、おじいちゃんもおばあちゃんも。でも、私が愛されていると感じたことは一度もありませんでした。」
【楓の記憶】
小学校でも、私はいつも1人だった。クラスのみんなは悪い人たちではなかったと思う。ひどいことを言われたことは何回かあった気がするけど、いじめられていると感じたことは一度もなかった。でも、誰も私に興味がなかったのは確かだと思う。
それでも良かった。私は、誰かに迷惑をかけるくらいなら、1人のままでいい。ずっとそう思ってきたから。
祖父母は、ちゃんとご飯も食べさせてくれたし、中学まで通わせてくれた。会話も普通にしていたと思う。でも、私は知っていた。
『おじいちゃんもおばあちゃんも、ずっと娘の帰りを待っている』
私がいる限り、お母さんは帰ってこない。おじいちゃんもおばあちゃんも幸せにはなれない。
お母さんが帰ってくる場所に、私はいらない。
中学2年生のある日、急に私の心は壊れてしまった。何かきっかけみたいなものがあったわけじゃなかった。たぶん、毎日の積み重ね。自分でも気づかないような、気づかないようにしていたストレスが限界を迎えた。
2週間くらいは病院で過ごした。毎日学校の担任の先生がお見舞いに来てくれた。祖父母は、たまに来ていたと思う。
閉じ込めていた不満や思いは、一度流れ出したら止めることはなかなかに難しい。私は、これまでの私の人生で悲しかったことや苦しかったことを、先生にたくさん話した。
「七海、学校の代わりに、ウチに遊びにこないか?」
先生の突然の誘いに、最初は少しだけ恐怖したのを覚えている。私が怖がっているのに気づいたのか、それとも言葉を発した後に語弊があることに気づいたのか、すぐに先生はまた話し始めた。
「あぁ、ごめん違う。妻も家にいるよ。もちろん、この提案のことも妻と相談してからここに来た。」
先生の表情は真剣だった。たぶん、私のことを心配してそんな提案をしてくれたんだと思うけど、どうして先生の家に遊びに行くなんてことになるのかが分からなかった。
「先生の家に行って、私は何をするんですか?奥さんと遊ぶの?」
「いいや、違うよ。うちにも14歳の娘が1人いてな。学校に行けていないんだ。もし七海にとって学校がストレスになっているなら、娘と遊んでやってくれないかと思って。もちろん、七海が学校に来てくれるのならそれが一番だ。でも、無理する必要はない。」
「私を使って、娘さんを学校に行かせたいってことですか?」
冷たいセリフを吐いてしまったのを覚えている。自分のことを気にかけてくれる人なんて、絶対にいない。そういう前提というか、偏見というか。そういう考えが自分の根底にあった。
「あぁ、そう聞こえてしまうのか。確かに、当然だな。こんな一方的なコミュニケーションじゃダメだな。七海のお見舞いに来ているのに。」
「いや、いいですよ。私、先生のお家に行きます。学校もたまに行きますけど。」
「そうか。ありがとう。妻も娘も喜ぶよ。」
「それは...期待に応えられる自信がないですけど...。」
最初は、学校をサボって先生の家に行くのは週に1回程度だった。家も学校も楽しくなかったけど、先生の家なら楽しいなんて確信はなかったし。実際のところ、最初は部外者感満載だった。先生の奥さんは私に気を遣いまくりだったし、肝心の娘さんは全然喋ってくれないし。
でも、気づくと私は毎日先生の家で遊んでいた。平日だけでなく、休日も。最初の方は私が飽きて帰っていたはずが、先生が心配して私を家に帰すようになった。
奥さんは引き攣ってない笑顔で私に話しかけてくれるようになったし、私も一緒に家事をするようになった。娘の『香奈』とは毎日ゲームして遊ぶようになった。
私は、どんどん自分の認識を騙すようになっていった。私が毎日寝ている家には、私の家族はいない。朝起きて、歯磨きをして、黙って朝食を済ませて。その後家を出て向かった先に、私の家族がいる。
「楓ちゃん、今日はもう帰りなさいね〜。」
「え、帰るってどこに?」
私の言葉に、先生の奥さんは一瞬固まった。しかし子供の冗談と思ったのか、微笑んで答える。
「そっか、もうここが楓ちゃんの家か!」
「そうだよ。お母さんも良くない冗談言うよね。」
『母』は、少し恐怖しているように見えた。今思うと、その時の私の目は、狂気に満ちていたのかもしれない。
「楓ちゃん、帰ろう?七海さんのおじいさんとおばあさんに怒られちゃうわ。」
私は、怖いくらいの真っ直ぐな目で、『純粋な』疑問を投げかけた。
「ねぇ、七海さんって誰のこと?」
『母』の目から、涙が流れるのが分かった。
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