第28話 深夜の密会
「さて、本題の事情聴取と行きましょうか」
ウキワは口角をあげニヤケると、近くの椅子に座る。そして、席に着けと手招きをした。それに呼応するように、俺とヒナウェーブは顔を合わせ座る。
「はいまず、あんたに質問。最初から気になってたんだけどなんで猫の仮面なんか付けてるの?」
「あ、それ私も聞いたんだけど、なんか濁されたような……」
ウキワとヒナウェーブのコンビネーションは俺の心を抉った。その質問は、想定外だったからである。洞窟を出て、最初に顔を合わせた時、何も言って来なかったツケがここで回ってくるとは思わなかった。
「猫が好きだからだよ。単純だろ?」
頭をフル回転させ、絞り出した答えがそれだった。
「ダウト、嘘つくの下手だねぇ」
あっさり嘘を見抜かれるも、俺は抵抗するという手段に出る。
「いや、事実な?」
「ああ……そうやって言い張るんだ」
とウキワはそっけない態度をとる。このパターンは何百回、何千回と経験してきた。つまり、それは敗北を意味する。既に、俺の脳内は見透かされているのだ。
「俺が馬鹿だった……それだけだ」
「ほほーん……」
本当は、ウキワにバレたくなかった故に仮面を装備しているわけだが、その旨を苦し紛れに濁したところ、どうにか汲み取ってくれたようだ。
「えっ……何が?」
ヒナウェーブは分かりやすく困惑していた。そうなるのも無理はない。
「特に理由は無いらしいよ。ヒナちゃん」
「ああ、そう?」
ヒナウェーブもそうだが、ウキワも思考が読みずらい。今も、事実を伝えればいいのに何故か俺を庇ったしな……。ウキワなりの何かがあるのだろう。
「そんなことより、私が聞きたいのはシークレットクエストについてだよ」
「分かった。俺が説明する」
本音は、ノーコメントで行きたいところだが、どうせヒナウェーブが言うだろうと解釈したおれは、情報を開示する。それに、最初から手がかりがあったようだしな。
「ふふーん。なるほどねぇ……」
「どうせそれも知ってたんだろ?」
「いや、そもそもシークレットクエストの存在自体を知らなかった。多分、あんた達が初遭遇だよ」
「最初鉢あった時、知ってる素振りだったろ」
「バウクロには、賞金ランキングって奴があってねぇ……」
それに反応したヒナウェーブは、ウィンドウを開き、指を動かす。
「ほんとだ。私とルア君が同率一位になってる……」
「え……てことはバウクロで初めて賞金を手に入れたのも俺たちって事か!」
正直、予想外だった。バウクロには数々の賞金狩りが集まっているとも聞いている。そんな中、賞金を取ったという事実は、信じようにも信じきれない。
「まあ、シークレットクエストはそのくらいにしておいて、『ギルド対抗賞金トーナメント』について話し合おうか」
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