第83話 オッサン齢53歳にして強行する。
「村重さん、今回のテイムモンスターはどんな能力持ってるんだい?」
「えーっと、ドキ子はぁ」
うん、きっとそう言う名前になると思ってた。
「『環境適応』と『浮遊』と『武装化』ですね」
「武装化?」
「なんか、ドキ子装備出来るみたいです!」
「ちょっと待つっす、そんな話聞いたことないっすよ!」
使役の能力がどんなにぶっ飛んでても俺は驚かないっすよ宣言してた笹かまが、普通に驚いてるよ。
「それって何か凄いことなのか?」
「モンスターも成長するっす」
「うん」
「進化も1回とは限らないっす」
「うん」
「それが装備になるって事は成長する装備を手に入れたのと同じっす」
「で?」
「…装備はダンジョンから出ても弱体化しないっす」
「…あ!」
「状況次第ではあるっすけど、ダンジョン外最強になるかもしれないっす…自衛隊の全部隊相手でも勝てるくらいになるかもっす」
「…よし!考えるのを放棄しよう!俺たちが考えた所でどうにか出来ないしな」
「そっすね、今考えてもどうにも出来ない事考えても仕方ないっすね」
「うん、とりあえず検証しておこう」
武装化で装備出来るのは彼女と彼女の使役下のモンスターだけだった。
そして、装備すると環境適応と浮遊は装備者のスキルとして付与される。
ドキ子自体の能力で飛翔は可能なので、浮遊して事実上重さが無くなってる装備者を飛翔で高速移動させる事が可能になった。
環境適応で陸、水、空、どこにでも行けるのも分かった。
「現状、アスパラ騎乗のプス子に装備させて、浮遊、炎熱化、突進、五関六将斬が最強の組み合わせっすね」
その強さは50階で早速発揮された。
既に進化してリーダー化したタガメに率いられた軍団がこちらにやってきた。
陸地を歩くようには出来ていないので全て空を飛んでいる。
こうなると俺は弱い。
接近戦以外の攻撃手段がまともにないので、襲ってきたタガメにカウンターをいれるしか手段がない。
圧倒的に多数の相手だと、どうしても手数が足りなくなる。
今までだと千紗の魔法頼りだったが、竜部隊が加わったことで千紗の負担が一気に軽減された。
そして、五関六将斬が想像以上に強力なスキルなのがこの戦いで判明した。
単純に攻撃が上がるんじゃなく、攻撃系のスキルの効果も上昇していた。
突進のスピードがドンドン早くなっていったのだ。
もちろん五関六将斬の効果も見てて分かるくらい上昇していた。
51階から、飛翔系のモンスターだった。
51階 グリフォン
52階 ヒポグリフ
53階 ハーピー
54階 ロック鳥
55階 ワイバーン
もうわかる通り、カモだ。
千紗が弱らせて、竜部隊がトドメをさす。
それで強化されたら、そこからは竜部隊の独壇場だった。
距離が離れすぎて、経験値が入ってこないという弊害もあったが、無傷で進めるのはかなり探索の速度を上げた。
56階に降りると、パールゴーレムだった。
「こんな下の方でゴーレム出るのか?」
「レアな方のゴーレムはどの階でも出る可能性あるっす」
レアゴーレムの通常ドロップは含有率の低い鉱石で出るが、パールゴーレムだけは形がいびつだったり、サイズがやたら小さいとか、色がくすんでいるのが出る。
含有率だとたまにそこそこ当たりも出るが、このゴーレムはレアドロップ以外は明確にハズレだ。
なので無視出来る奴は極力無視して降りた。
57階 アメジストゴーレム
これも、かなり微妙だ。
58階 ガーネットゴーレム
宝石に使えるものが出れば、それなりに値段は付くが、紙やすりに使われている物だとものすごく安い
59階 シルバーゴーレム
これもレアドロップならまだしも、通常ドロップではわざわざ集めるほどではない。
60階 カッパーゴーレム
…
…
…
はい、スルー確定。
レアゴーレムの無駄使い。
61階からは、状態異常を得意とするモンスターたちだった。
61階 バジリスク
62階 コカトリス
63階 メデューサ
64階 マンティコア
65階 サンドマン
後半より、序盤の石化のモンスターの方が脅威だった。
幸いリーダー格のモンスターがまだ誕生してなかったおかげで、出来るだけ遭遇しないようにかなり遠回りしながら移動していた。
「下の階層のモンスターの方が氾濫起こさないのか?」
「なんとも言えないっすけど、最初は上の階層のモンスター、徐々に下のモンスターが出るイメージあるっす。
下の階層の奴の方が慎重なのかもしれないっすね」
「それはそれで厄介だな、慎重に行動できる知性があるって事だろ?」
「まぁ、そうっすね」
アスパラ隊も1割ほど数を減らしている。
最終決戦までにどれくらいの数が残るか…。
とにかく、あまり時間もかけていられない。
交代で2時間ほど仮眠をとって、更に下の階に強行するのであった。
【後書き】
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