第77話 オッサン齢53歳にして引率する。
色々な事が起きてから半月ほど経った。
その間に別海のダンジョンは全て氾濫してしまった。
自衛隊だけでは対処しきれない上に、探索者が全然集まらない。
下手に探索者仕事しろみたいなことを言うと、じゃあお前が探索者になって行けよと言われる風潮が出来上がっているため、そういった批判の声も上がらない。
このまま探索者が対応しないままという訳にもいかないので、協会はひとつの方法を実行することにした。
代表のクルーを探索者達に守らせて、撮影をさせる。
その映像を全てのキー局から資金を出させて買わせるのだ。
大リーグの映像を共同で買ってるのと同じ方式だ。
この資金で探索者の報酬を引き上げて氾濫の対処をしてもらう事にした。
『お前ら散々迷惑かけたんだから、詫びに金を出せ』
をシステム化した案だ。
ただ、これで買える映像はどの局も同じものになってしまう。
各局個性を出したいだろうし、スクープも欲しいだろうということで、各局が共通の映像以外を撮影する為のクルーの護衛も別途受け付ける事にした。
笹かまはこれを利用して、護衛側の要望としてクラス所得を条件としこれを承知させ。
その後本人達の要望という事に強引にして、パーソナルクラスを習得させ。
協会の意見としてダンジョン探索の見込みが無いものに支援は出来ないと決定させ。
その代わり懇意にしてる銀行の系列から全員に2億づつ融資をさせて保証人は協会という形におさめた。
「そのおかげで、ここにいる羽目になったっす!」
「ん?いまいち理解が出来ないんだが」
「色々無理矢理コイツらに借金おわせるの頑張ったら、ちゃんと返済出来るように育成するか、とっとと見切りつけて掛け捨ての死亡保険が降りるようにするかしないとならないっす。
お前がここまで追い込んだんだから、お前が最後まで面倒見ろ言われたっす。
最悪っす!いっそみんな死んでくれれば楽なんすけど」
死亡保険のあたりから、撮影クルー達が震え上がっている。
「楽しそうだったもんな、面白がってるのばれたんじゃないか?」
今回俺たちが任されたメンバーは、テレビ局がプロデューサー、ディレクター兼カメラマン、ADの3名、雑誌社側が編集長、担当記者、カメラマンの3名、合計6名だった。
「流石に見切りつけるのは可哀想だと思うぞ」
そう思って、どんなクラスか確認しようとしたのだが、警戒というか、敵と思われてるのか、まともに話してくれない。
唯一、ADの女の子だけ話を聞かせてくれた。
「グズッ、グズッ、ウッ、ウッ、私は…たまたま担当だったけど、どんな撮影かとか、一切聞かされて無くて…なんでこんな事になってるのよく分からなくて…でも、上に逆らえなくて…」
これは、テレビ局からスケープゴートにされたな。
「俺が出来るだけ手伝うよ、色々アドバイス出来る事もあると思う。
ステータスを教えてもらえるかい?」
「はい…よろしくお願いします」
村重沙耶 レベル1
クラス 竜使い
クラス解説 ▽
強さ 5 物理的攻撃力
器用 5 命中率
素早さ5 回避率、移動速度
知性 5 魔法的攻撃力
耐久力5 物理防御
賢さ 5 魔法防御
HP 50
MP 50
パーソナルスキル 土竜使役
土竜を使役できる。
竜の加護
戦闘中、死亡するダメージを与えられても一度だけHP1で生き残る
竜の縛め
パーソナルスキル以外のスキルを獲得出来ない。
能力上昇値 5レベル毎 強さ1 器用1 素早さ1 知性1 耐久力5 賢さ5
「な、なんだこりゃ、土竜って、モグラのことだよな」
「はい、地中にモグラがいるの感知出来るので、モグラで間違い無いと思います」
絶望したような顔でこちらを見ている。
クラス解説
伝説の竜使いである。
竜、龍、を冠するものを使役する事ができる。
ドラゴンは竜(龍)にあらず。
え!ドラゴンは使役出来ないって、えぇぇぇ!
「ちょ、ちょっと待ってくれないか俺より詳しいの呼んできて3人で、いや、4人で相談しよう」
俺は慌てて、千紗と笹かまを呼んだ。
「ドラゴン使役出来ないって、これってどうなんだ?東洋風の竜ってダンジョンにいるのか?」
「聞いた事無いっす、イレギュラー個体とか特殊個体でいるかもしれないっすけど、それよりこれって、今は土竜だけ使役できる状態なのか、他のものも使役出来るけど土竜だけ特別な何かを出来るのか、そこ大事っすね」
「竜がつくもの何でも使役出来るなら植物は使役出来るのかしら?
竜のつく植物はいくつかありますよ」
分からない事が多すぎる。
「でもあれっすよ、極端に能力値低かったり、極端に成長出来なかったり、変なマイナスなスキルある時って、それに見合うだけの何かがある事多いっす」
「じゃあ、能力値低くて、成長出来ない上に、スキルも取れないこの子は、とんでもない大器晩成かもしれないんだな」
「そういう事っす」
「千紗、すまないが世話してやってくれるか?」
「はい!任せてください!」
千紗の笑顔にほっこりしてしまう。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
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よろしくお願いします。
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