第61話 オッサン齢53歳にして呉越同舟を味わう。
翌日、ボス狩りを終えた俺は3兄弟と一緒にレイスのフロアに来ている。
俺たちを邪魔する為に来ている奴らを俺たちがサポートする。
そして、その為に多額の依頼料を払い俺たちの借金返済がはかどる。
うーん、控えめに言って頭おかしい。
でも、まぁ今の状況だと俺たちの方が有利かな。
このまま怒涛の勢いでボスマミーまで辿りついたとしても、嫌がらせで半額にされているから、そこまで影響は出ない。
結局ドラゴンさえ狩れていればウチは影響少ないんだよな。
ドラゴン素材は需要高すぎて、金額下げれないみたいだし。
チョンチョンと裾を引っ張られる。
千紗だ。
笹かまから、天網恢々の性能と俺の装備コンボを利用した水鉄砲攻略は隠した方が良いと言われている。
なので、魅夢の背中をチョンチョンと軽く叩く。
魅夢がこっそり移動して魅了で誘導、俺たちの進行上からモンスターを外す。
結果
「1匹も遭遇しないじゃ無いか!どうなってるんだ!」
と、こうなる。
ほんの僅かとはいえ、経験値もこいつ等に入るし、魔石の所有権もこいつ等。
せっかくだから何も手に入らないようにしようと話し合った。
ここまで来る間もまぁまぁひどい事言われたし、これくらいの悪戯は許されるだろう。
俺も人のこと言えないけど、レベルが上がっても精神性は成長しないからなぁ。
ワイトの階も1体も遭遇しない。
「おかしい…お前等何かしてるのか?」
やっと気づいたか。
「さぁな、遭遇しないなら時間も短縮されるし良かったじゃ無いか」
「それはそうだけども」
残念ながら、ウィルオーウィプスに魅了は聞かないと魅夢が言ってきたので、千紗にお願いする。
今の千紗の実力だと、バレルジャベリン1発で倒せる。
ファントムは魅了が効くので、また遭遇無し。
イビルアイもボスまで一直線だ。
「こんなにあっさりボスまで行けるなら、俺たちだけで良かったんじゃ無いか?」
言ってろ。
イビルボスだが、光耐性があると言っても千紗のスピアジャベリンだと流石に無傷とはいかない。
空中で素早く移動するボスに光のジャベリンを叩きつける。
怯んで動きが止まったところで魅夢が魅了で空中から降ろしてシールドバッシュで終了。
「こんなに簡単に倒せるなら、こいつ等に頼む必要無かったんじゃ無いか?」
三バカトリオとはよく言ったもんだ。
戦力分析も出来ないでよくここまでやってこれたな。
あ、即席栽培で成長したから、地力がないのか。
…なんだろう、ブーメランが刺さった気がした。
くそ、なんだか知らないが、余計なところで精神的にダメージくらった。
「じゃあ、依頼達成だから帰るな」
「たいした仕事もしてないくせに大金せしめやがって」
修了書にサインしながらそんな事を言ってきた。
「言われた事はしているからな、文句言われる筋合いはないぞ」
コイツらとは一生仲良く出来なさそうだな。
受付に戻って笹かまに修了書も渡す。
「あ、そうだ、装備頼んでるんでそろそろ来るっすよ」
「え?装備って?」
「なんか探すって言ったっすよ」
「あれってメイスだけじゃ無いのか?」
「いやもう1個頼んでるっすよ、言ってなかったっすか」
「…あれ?言ってたっけ?」
歳だしなぁ、聞いたのに忘れた?
「俺も言った記憶はないんすけど」
「じゃあ、言ってないじゃねぇか!」
「もう頼んじゃったし、なんならもう届くし、キャンセル無しっすよ」
「笹かまが買ったって事は必要な装備なんだろ?
そこは信頼してるから、文句は言わないよ。」
「え、あ、素直に言われるとなんか調子狂うっすね」
その日の探索はこれで終了した。
ー翌朝ー
なんか人がやたら多いんだが。
「おー、来た来た、今日はこいつらの5層キャリー頼もうと思ってな!」
「それくらいなら、自分達でやれるんじゃないか?」
「俺たちは先に進まないとならないからな!」
「そっか、まぁ、そういう事なら…「ちょっと待つっす!」」
「今日は下の階層の調査依頼あるんで、ダメっす。
明日の午後からじゃないと無理っす」
いきなり、笹かまが割って入ってきた。
「え?そんな話聞いて…ゴフゥッ」
「黙れっす、今は話合わせるっす」
笹かまにワンパン入れられた。
え、洒落にならないくらい痛いんだけど、俺って防御力はピカイチなんじゃなかったのか?
「ガフッ、ゴホッ、あ、ああ、そうだった、すまんな明日の午後からで良いか?」
「ん、あぁ、1日くらいなら良いぞ、今更だしな!お前等今日は普通に稼ぐぞ」
そう言うとゾロゾロとダンジョンに向かった。
「とりあえず、今日はボス狩りしたら、その下の階が沼地だって確認よろしくっす」
「ん、ああ」
「あと、2人に忠告っす、いいっすか?ダンジョンで自分を殺しに来る奴は全て敵っすよ。
これからも本気で探索者やるなら、手加減なんて甘い考えは捨てるっす。
ダンジョンで出会うものは、味方か、殺す相手か、殺される相手しかいないっす」
いつになく真剣な眼差しで笹かまがが俺たちに言う。
俺たちは無言で頷くことしかできなかった。
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