第56話 オッサン齢53歳にして邂逅する。
グリーンの次はブルーだった。
「青い奴の弱点属性は?」
「あー、土っすけど防御力がおかしいっすからね、通用するかは分からないっすよ」
「ドラゴンだからか?」
「エンシェントだからっすね」
「やべーだったっけ」
「やべーっす」
「防御力がやべーって事だよな」
「防御力と攻撃力がやべーっすね」
「あいつ倒したらもう少し詳しく教えてくれ」
戦ってみたが、グリーンとブルーで色が違う事くらいしか分からなかった。
「防御力がアホみたく高くて、攻撃も多彩でその全部が強力、色で弱点属性も変わるってのがドラゴンが嫌がられる部分なんすけど、剣崎さんの場合その辺を全部無かった事にしてるんでおかしな事になってるっすね。
ドラゴンはレッサー、通常、カイザー、宝石名がついたジェムって強さが上がっていくんすけど、エンシェントって付くと強さが2段階上がるんすよ、ブレスを吐かない、空を飛ばないの特徴があるにも関わらず通常にドラゴンよりエンシェントレッサーの方が強いっす」
「はーなるほどな、俺的には空飛ばれるのが1番めんどくさいな」
「そっすか?剣崎さんの場合タイマンなら基本負けないんじゃないっすかね。
それよりもドラゴン倒したら次っすね、たぶん沼なんで」
「毎回予想してるけど、前はこっちかこっちって2つだったが、次のはほぼ確定みたいな言い方だな」
「あー、それは下層辺りから、通常とレアのどっちかのエリアなんすけど今んとこ全部レアしか出てないで、もうこのダンジョンレアしか出ねーんだろうなって思ってるっす。
アンデッドなんかの特殊エリアもある意味レアエリアっすからね。
今回のエンシェントなんてレア中のレアっすからね」
「何色なら当たりなんだ?」
「ぶっちゃけどの色でも当たりっすけど、ゴールドは別格で当たりっす」
次の階は赤だった。
「弱点は水っすね、効くかどうかは別にして」
次は黒だった。
「弱点光っす」
「そんな事よりまだ金出てないぞ」
「あんまり期待して出なかったらテンション落ちまくりっすから、冷静に行くっすよ」
そんな話をしながら下の階に降りる。
55階のドラゴンは金色だった。
「よっしゃー!しゃー!しゃー!いくらだ?金ならいくらだ?」
「800万くらいっすね」
1日2回倒して1600万、他の階のボスを合計すれば2000万超える。
ドラゴンは通常ドロップも7000円と高い。
今までの分考えれば1週間通えば余裕でクリア出来る!
「まずはボスドラゴンを俺が倒せるか試さないとな」
「ボスドラはクソほどHP高いんで、スーパーアーマーで1000くらいHP消費して良いと思うっすよ」
「あぁ、そうする」
こうしてボスドラゴンと戦ったんだが、スーパーアーマーが強すぎる。
HP1000消費で100秒、1分半以上無敵モードである。
負ける要素がない。
途中変な妨害が入ったが、問題なく稼げそうだ。
ー2日後ー
特に問題なく稼げている。
今日も順調にボスを狩って笹かま達と受付まで戻って来た。
「おう!テメェら舐めとてんのか!受付に協会の人間居ないなんて、ウチじゃありえないぞ!だらしねぇ」
俺と同い年くらいの俺と同じくらいの太ったオッサンが何人か探索者を引き連れて大声で騒いでる。
「あーすいませんっす、こんな辺鄙なダンジョンにくる奴居ると思ってなくて、いやー勘弁っす」
「なんだその態度は!あぁ?俺がその気になったらお前くらい簡単に殺せるんだぞ、表で社会的に抹殺するか?それとも裏でダンジョンの肥やしにするか?」
なんだか、聞いた事あるフレーズだな。
昔からこんな事ばっか言ってたやつが同級生に1人居たな。
やっぱり世の中にはこう言うバカって何人もいるもんだなぁ。
「ん!おお!てつー!お前てつじゃねぇか!」
…
…
…
やっぱり世の中にこんなキチピーな事言うバカは何人も居ないかぁ。
1番会いたくない奴に会ったわ。
この喚いてるオッサンの名前は中田俊光、確か別海に出来たダンジョンで大揉めに揉めて、東北海道探索組合を立ち上げたって地元の友達が言ってたのを聞いた。
ダンジョンが出来る前から親戚にヤクザがいるとか、法律を使って社会的に抹殺なんかわけ無いとか、〇〇を自殺に追い込んだのは俺だとか、そんな事ばっかり言ってた奴だった。
実際は口だけで何にも出来ない男だったんだが、とにかく息を吐くように嘘をつく男で、結構信じる奴もいて、それなりに取り巻きもいた。
中学生頃何故か目の敵にされて、あの手この手と嫌がらせされてたので、1番嫌いな奴だったんだが、卒業後10年ほど会わないうちに、コイツの中では青春の懐かしい思い出になっていて、疎遠になっていた親友という扱いになっていて、嘘だろ?ってなった思い出がある。
嫌われ者で同窓会の時にも他に話す相手がおらず二次会にも呼ばれない奴だったから、例え喧嘩でも嫌がらせでも俺くらいしか当時の思い出話せる奴いなかったんだろうな。
そんな奴に数十年ぶりにあったら、当時の記憶が色々蘇って来た。
「友達?」
千紗が小さい声で俺に聞いて来た。
「いや、知人であって友人では無いよ」
「おう!そこの三下!大畑の借金全部チャラにしろや!出来ないなんて言ってみろよこの世の地獄見せてやるからな!」
笹かまに向かってこんな事言ってる。
「どうする?警察に連絡するのか?」
笹かまに近づいて聞いてみる。
コイツ別海で揉めた時も通報されて確かまだ脅迫罪で執行猶予中のはずだ。
地元の同級生がわざわざ地方新聞の切り抜き画像をSNSで送ってくれた。
「大丈夫っす、俺なりの対処するっす」
ヘラヘラ笑いじゃ無い笹かまの笑顔は心の底から震えるほど怖かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます