第55話 オッサン齢53歳にしてドラゴン攻略に向かう。
午前中のボス攻略を終え、自由時間にドラゴン階層攻略を始める。
今回は未探索のうえ危険なドラゴンなので、まずは俺達と志願者だけで移動することにした。
「ドラゴンツアーに参加希望の人いるっすかー?」
ツアーって横に生存率とか表示される類のものだったかな?
案の定と言うか、だろうなって思っていたが、唐辛子、佐々木、高橋の3名だけ希望してきた。
適正階でレベル上げた方が苦労しないだろうに。
まぁ、本人達の自由か。
俺は新たな装備『オークメイス』を左に持ち、シールドを右に装備している。
別に左利きなわけではないし、野球の右打ち左投げ的なものでもない。
メイスじゃ当たらないのである。
最初は左でブロックしてメイスで殴ってたのだが、当たらない。
スカラベエリアでわざわざ練習時間もらって、やってみたけど無理っぽい。
今からメイススキルが生えてくるまで頑張るとか時間的に無理なので今回はスーパーアーマー部分だけを使ってシールドバッシュで戦うことにした。
そうなると、シールドが右手の方が都合が良くなるため必然的にこうなる。
うわぁぁって襲い掛かり、メイスを掲げてスーパーアーマーを使い、シールドバッシュで攻撃する。
物凄くダサい。
普通の探索者が見たら何を馬鹿なことしてるんだと思うだろうな。
武器を掲げて防具で殴る。
バカじゃなかろうか。
だが、シールドバッシュはカウンター技なので器用に関係なく命中の基本値は100%だが、メイスは通常攻撃なので、モロに器用の影響受ける。
今の俺ではメイスが敵に当たる気がしない。
スキルを覚えれば少しはマシになると思うのだが、実践で使えない状態でスキルが生えてくるとも思えない。
安かったらメイスのスキルスクロール買おうかな。
「なぁ、笹かま、メイスのスキルスクロールっていくらくらいするんだ」
「あー、確か2、30万くらいのだったと思うっすよ」
「買おうかなって思うんだけど」
「あー、このメイスいつまで使うかわからないっすからね、打撃武器ってスキルの方が良いと思うっすよ」
「違いは?」
「一点特化と広く浅くって感じっす。
メイススキルはメイス専用に技覚えるんで高威力のダメージ狙えるんすけど、打撃武器は汎用技ばっかであんま強いの覚え無いっすね」
「値段は?」
「同じくらいっすね、一般的には同じ武器使って専用スキル覚えた方が良いって言われるっすけど、汎用性高い方がコスパ的にはお得っすからね」
「メイススキル取って、ハンマーの掘り出し物出ても意味ないって感じか?」
「それもあるっすけど、リビングデッドガチャで性能大当たりでもスキル持ってないから泣く泣く手放すとか普通にあるっすから」
「売ったお金で新たにに買えば良いんじゃないか?」
「探索者の戦利品って一次産業みたいなもんすよ、農家の取引価格とスーパーの販売価格じゃ10倍とか普通じゃないっすか」
「確かにな100万で売って同じ程度の物買おうとおもったら1000万とかになるのか」
「まぁ、そんな感じっす」
「なるほどなぁ、これひと段落ついたら打撃武器のスキルスクロール手配してもらって良いか?」
「いっすよ」
「俺、返済が終わったら、スキル覚えるんだ」
「あー、ここで死亡フラグは洒落にならないっすよ」
「ん?そういうの信じる方か?」
「そうでもないっすけど、言霊って怖いっすから…なんかダンジョンってジンクスとかそういうのも現実化しそうじゃないっすか?」
「確かにな、俺もうかつだったな、すまん」
「謝るほどじゃないないっすよ」
「そか」
「1匹目いましたよ」
千紗が会話が途切れたのを見計らって伝えてくれる。
今の俺のHPは2040ある、長命のクロスの効果で増えるHPは5100、510分は回復に回る。
総ダメージは、ええっと通常ダメは0のままで、乾坤一擲分がダメージ入って、連撃の鉢巻で倍々になっていって、どっちの攻撃もカウントされるから単純に攻撃回数は2倍で良いのか?あ、攻撃回数も倍々に増えていくだっけか、でもその分次の回復も増えて…あれ通常攻撃も相手の防御抜けたらダメージ入るのか…。
…
…
…
分からん!
とりあえず5秒もあればなんとかなるだろう、50ほどHPを消費してみる。
エンシェントレッサードラゴンがクルリと回転して尻尾で攻撃してくる。
最初にこの攻撃を頻繁にするので、すっかり慣れてしまった。
タイミングを合わせてスーパーアーマーを発動する。
「お!」
凄いな…ダメージだけじゃなく衝撃も防いでくれる。
踏んばらなくても相手のダメージを受け止めることが出来る。
あとは落ち着いて。
「シールドバッシュ!」
全てのレッサードラゴンを倒し下方不敗になってくれるわぁ!
いかん、あまりに綺麗に倒せ過ぎて、テンション上がり過ぎた。
声には出してないよな?
「剣崎さん、下方不敗ってなんすか?」
「な、な、ななんでもない!ま、負けない誓いみたいなもんんだ!」
「あ、そうなんすか?
てっきりテンション上がり過ぎておかしなネタを口走ったのかと思ったっす」
こいつ…分かってて言ってるな。
「さっさと行くぞ!」
「剣崎さん、耳赤いっすけどなんかあったっすか?」
「こういう時のヘラヘラ笑いは、殴って良いよな?」
「普通にダメっすよ」
くっそー笹かまのやつめぇ!
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