第8話 オッサン齢53歳にしてもらす。
死ぬかと思った。
あんなの無理だ!
俺が必死になって考えた装備のコンボが一瞬で無駄になった。
もうダメだ…
まだ身体が震えてる。
…
…
…
股間が冷たい…。
え?
俺、漏らしてる!?
うわぁ…せめてもの救いは周りに誰もいない事だな。
50過ぎのオッサンが、怖くて失禁する。
情けなくて涙が出て来る。
しょうがない、脱いで乾かすか、でもこのパンツ脱いだら2度と履きたくなくなる気がする。
それに下半身丸出しは抵抗あるしな。
絶対誰も来ないって保証ないし。
とりあえず、ズボンだけ脱いで、乾くまでぼーっとする。
何も考えないでぼーっとしていたら、少し気持ちが落ち着いてきた。
今の戦闘、いや一方的な蹂躙を振り返るくらいの気持ちが出てきた。
しかし、ボス強かったな。
いや、強すぎるだろう。
HPを確認する。
25しか残ってない。
あと1発殴られたら終わりだった。
250あったはずだから、225点もダメージを食らってる。
1発75点かぁ…。
あれ?思ったより少なくないか?
防御力に対して攻撃力が極端に低い気がする。
ちゃんと計算してなかったから、よく分からないけど凄い量のダメージ入ってるはずだよな?
ちょっと計算してみよう
えーっと10発当たるたびにダメージ倍で、50回復するまで続くんだから
・
・
・
奪命の指輪発動 ダメージ0
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
乾坤一滴発動 ダメージ1024
追撃の鉢巻発動
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
乾坤一滴発動 ダメージ2048
最後の19発で29696点、途中のダメージも合わせたら30000点越えるな。
いや、流石にこんなにHPないだろう。
だって、20階までは浅層、40階までが中層、60階までが下層、100階までが深層ってなってるんだし。
そんな最初も最初、浅層の1発目のボスがHP30000超えってどう考えてもおかしい。
それにHP30000超えのモンスターの攻撃力が75ダメージってアンバランスすぎる。
まだステータスも上がっていない、装備も布の初心者相手なのに。
「なーんかカラクリあるな」
とりあえず笹かまに聞いてみるか、あんなんでも協会の人間だしな少しは情報あるだろう。
ズボンが乾くのを待って、帰還する。
途中出会ったモンスターを倒すことでHPは全快した。
「あら、随分早いっすね」
「あぁ、ボスに挑んだんだけどな、全然敵わなくてな」
「えぇっ!1人で挑んだんですか?無謀っすね」
「そんなに無謀か?」
「ええ、だって、オークのボスっていったら、初手スーパーアーマーっすよ、3分間耐えるタンク役居ないと絶対勝てないっすよ」
「な!スーパーアーマーってなんだ?」
「スキルっす、3分間攻撃無効って分かりやすく強いっす。
ただ、3分経ったらパージって効果発動して逆に防御力半分になるんで、耐えれれば勝てる相手っす。
耐えるのが大変なんすけどね!」
「そ、そうなんだ」
謎があっさり解けた。
「て、いうか剣崎さん、ボス戦やるなら情報収集くらいしないとマジで死ぬっすよ!
下層まではボスモンスターのデータなんて普通にネットに転がってるんで、拾ってこないと。
っていうか、俺に聞いてくれれば、それくらいなら答えれるし」
「そ、そうなのか?」
「あ、ひどいなぁ、こんなとこ配属されてるから使えね〜って思ったっしょ、これでも探索者してたし。
割とやる男っすよ!」
そうなんだ、これは認識改めないといけないな。
「すまんかった、正直侮ってた」
俺は素直に頭を下げる。
元経験者の職員なら俺なんかより、知識も技術もずっと多いはずだ。
「あー気にしないで良いっすよ、探索者としても落ちこぼれだし、職員としてもあんま真面目にやらないから、ここに飛ばされたんだし」
そう言って笹かまはヘラヘラ笑っている。
額面通りにこの態度を受け取らない方が良いんじゃないだろうか?
「すまないがアドバイスをくれないだろうか?
ボスオーク、攻撃にさえ耐えれればなんとかなりそうなんだ」
「ちょっと待ってくださいね、剣崎さんのデータ見るっすから。
…あのー、このスキルでボスなんとか出来るっすか?」
あ、そうか、考えてみれば協会のデータで俺が倒せるとか言っても、妄想にしか聞こえないな。
俺は自分の装備を説明した。
「理論上はHP30000点までは削れはずなんだ」
「へぇ!よく思いついたっすね!やっば、多分これ攻撃だけなら下層でも通用するっすよ!
じゃあ、防御とかそっち方面の強化っすねー。
うーん小盾で捌くには器用が微妙かなぁ、いっそ思い切って大盾か盾2枚でガチガチに固めるのどうっすか?
さっきの話ならシールドバッシュ覚えれば勝確っすよ」
笹かまのアドバイスが思ったよりしっかりしてる。
「おー!良いね!だが盾買うほど持ち合わせがないんだ、金貯めてからそうするよ」
「うーーーーん、しゃーないっす!担当者登録して装備貸与の手続きとっておくっす!」
笹かまがやっぱりヘラヘラ笑いながらそんなことを言い出した。
でも、そんな話聞いた事ないぞ?
「装備貸与?」
「あーこれ内緒っすよ、実は協会職員は担当者登録って出来るんすよ、それやると担当者になった探索者の実績がもろこっちに影響するんで、将来有望とかめっちゃ実績あるとかそういう人にだけこっそり教える話なんすけど。
その担当者登録すると色々された側にも特典あって、それの1つに装備貸与ってのがあるっす」
「ありがたい話だが、それを俺にして良いのか?」
「え、ふつーにダメっすよ。
でもまぁ、俺はダメ職員なんで、後で怒られておくっす」
ヘラヘラ笑いながら、笹かまがそんな事言ってくれる。
「すまん!出来るだけ迷惑をかけないように努力する!」
「あー良いんすよ、なんか、俺みたいのにちゃんと謝ってくれたり、アドバイス聞いてくれたり、嬉しかったっす。
それだけっすから」
笹かまがちょっと顔を赤くしてそっぽを向く。
こいつ良いやつだな。
「あ、あと、盾の講習の申請も一緒に出さないとならないんで、それ受けるっすよ」
「あぁ分かった!恩にきる!」
俺はそれだけを言うと、自宅に帰ることにした。
ズボンとパンツを洗わないとならないからな!
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