野良ネコ相聞歌ーぼくが嫌いなネコが好き/風ノ桂馬 (第2回短歌・俳句コンテスト20首連作)

@kazenokeima

野良ネコ相聞歌―ぼくが嫌いなネコが好き


野良猫に名前をつけたその日からネコがわが家の矢印になる


 何でやろジロウと云うて呼びよるなメスやでちょっと違うやろうが


ネコが来るエサやる撫でるすぐ帰るまた来る撫でる世界は回る


 あのヒゲの子供やろうなよう撫でるちょっとかわいいふりもせんとな


新入りの猫と陣地を戦ってびゅうっとひかりの渦巻きになる


 えらいやつ来よったけれど頑張った大変なんやこどもができて


母ネコが仔ネコ咥えて見せに来た母さん似だね丸いシッポも


 わてのこはそらかわいいで連れてゆこごはんをもらう作戦やがな


ふんわりと仔ネコが膝に来て眠るふわふわふわり雲に変わって


 あのヒゲはもうメロメロや知らんがな眠ったふりも生きるためやで

 

コロゴロはいいなようやく慣れた仔がぼくへ渦巻き返すみたいに


 人なんてみな嘘つきと母さんは言いはるぼくの嘘つきもダメ


爪を研ぐ獣爪切る人間の砲弾作る指の逆剥け


 殺し合う、ありえへんからわからへん、金魚は食べるすまんな言うて


わが家から秘密の星に抜ける道 野良の五匹にそれぞれの母


 母の母その母の母母の母みんな見ているあの母さんの星


猫だとは思っていないネコが来るいつも親父になる座り方


 にんげんにしては長いなこのヒゲは鈴も付いてる どうも猫やな


ネコが好きぼくが嫌いなネコが好き猫は知らない花いちもんめ


 妙なことばかり云いよるにんげんよ わてに惚れてる花いちもんめ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

野良ネコ相聞歌ーぼくが嫌いなネコが好き/風ノ桂馬 (第2回短歌・俳句コンテスト20首連作) @kazenokeima

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画