身体性 Twitter小説

今、思ったことを、今、書いて、今、投稿する。今、君に届く。

身体性を追求しました。小説とは言えないけれど、読んでね。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

このツイートを見つけてくれたあなたへ。


一度、目を瞑ってほしい。


10秒でいい。


雨乃よるる

@yrrurainy

……ありがとう。


それだけで僕は救われた気がする。

窓枠に座って、冷たい外気に半分身を曝しながら、iPadの画面をポチポチやって、自分は何がしたいのかはわからないけれど、君に少しでも届くものを造りたいと思っている。これが小説なのかはわからない。

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10:05 PM · Jan 30, 2024

·

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雨乃よるる



雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

冒頭に目を瞑ってくれたと思う。


あなたは何を見たのだろうか。瞼の裏で。


何も見なかったかもしれない。このツイートの続きの内容を想像したかもしれない。インターネットの世界から一瞬離れて、さっきまで見ていた140字の情報群に息苦しさを感じたかもしれない。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

今、くるみ割り人形の行進曲のメロディが口笛に乗って届いた。誰が吹いているのだろう。近所の誰か、だろうか。冬だし、指先が冷たい。でも私はこのまま文章を紡ごうと思う。窓を開け放ったまま。

温度の境目にいると、より皮膚感覚が研ぎ澄まされていく。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

私は、生きているんだ。窓の外、住宅街から漏れる無数の光に、白く眠たい息を吐きながら。風に溶けたぶうんという道路の音に耳を澄ませて、下がった視力にちょっと苛立って、それでもブレーキ音や話し声、食器の音みたいな、夜も続く人の営みに微笑みながら。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

そういう感動を持ったまま、君と繋がれたらいいと思う。

でもそうはいかない。インターネットは無慈悲だ。

例えば誰かが死にたいとつぶやいたとして、それは情報だ。だって、あなたはその誰かと手を握り合ったことがない。隣で歩いて、同じ道の凸凹を足裏に感じたことがない。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

指がささくれてめくれているのを手に取って心配したことも、笑った時の口臭に顔をしかめたことも、肩がぶつかって頭を下げあったことも、ない。そんな関係はすべて、ゼロとイチの組み合わせで表記される。死にたい誰かが打った文字は、生成AIが出力した文字と同等だ。


でも私たちは、違うはずだ。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

君は冒頭に目を瞑ってくれた。僕は文章を綴る間中、自分の身体感覚をリアルタイムで描写していた。あ、そうだ。今は流石に寒くなって窓を閉めて、ベッドの上で首が痛いと思いながら書いている。


雨乃よるる

@yrrurainy

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6m

僕も、君がツイートをタップして、スクロールして、もしかしたらいいねを押す一連の流れを、10秒間、瞼の裏に移そうと思う。これは儀式だ。私たちがゼロとイチにならないための。


まってて。いま、タイマー持ってくるから。そして、冒頭、10秒目を瞑らなかった不真面目な君も、一緒に。


雨乃よるる

@yrrurainy

·

6m

……ありがとう。


10秒って短いね。僕は、延長した。


じゃあ、また会おうね。そして、またおんなじ儀式をしよう。

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