夢 Twitter小説

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

今、東京都××区××何丁目何番地のビルの7階にいます。

助けてください。

誰か、来て。

お願い。

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

震える指先で送信ボタンを押した。一瞬で、いいねとリツイートが通知に溜まる。

ほんの少しだけ、心が浮いたようになった。期待した。

スマホ画面を凝視する。真っ暗な部屋から、唯一外へ繋がることのできる窓だ。ここが閉じたら、私は死ぬしかないんだ。

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

チャイムがなって、誰か私のフォロワーさん、イケメン、とかじゃなくてもいい。脂っこい髪にダサいTシャツの男でもいいから、「大丈夫ですか?」と声をかけて欲しい。ワンルームの部屋を開けて、外の空気を入れて欲しい。二酸化炭素濃度の高いこの部屋と、今日も誰かが殺されるような外の世界との間に

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

優しく立っていて欲しい。

それからどうする、なんてのはどうでも良かった。私がつぶいたら、誰かが来た。の事実だけで良かった。指をほんの少し動かせばできるような行為の延長に、優しさがあると信じたかった。

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

寒いから、泣きそうだった。丸まった背中が痛くて、前髪が目に入って痛くて、指がかじかんで上手く入力できないのが痛かった。

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

体の軋んだ部分が、すべて泣いていた。

よるる

@yrrurainy

いくら待っても、チャイムは鳴らなかったし、「今から行きます」のリプすらなかった。嘘でもいいから、一瞬でも期待をさせて欲しかった。期待したとき、未来に思いをはせたその時だけは、現状から飛び立てるから。

Translate post

2:45 AM · Jan 6, 2024

·

112

Views

View post engagements


よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

チャイムが鳴らないのは当たり前だった。だって私は存在しない住所をツイートしたのだから。結局すべて夢なのだ。何か劇的なことが起こりそうな気持ちになってみたかった。いいねとリツイートと、リプだけ、あれば、気持ちだけここから抜け出せれば良かった。

よるる

@yrrurainy

·

Jan 6

眠たくなってきた。そっと赤い文字に触れて、ツイートを消した。

風呂や着替えはおろか、ベットに上がることすらできない。


外へ繋がる唯一の窓を閉じて、私は息苦しい眠りへ墜ちた。

よるる

@yrrurainy

·

Jan 9

#Twitter小説

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る