よりみち! 〜その頃あの場所では……(紅魔の里編!!)〜

よりみち! 〜紅魔の里のぼっち娘1〜

「なんだか、久しぶりだなあ。」

小さいときに散々見てきたグリフォンの像を見ながらつい口に出す。

めぐみんと別れて直ぐにテレポートをつかい紅魔の里に戻ってきた私は親友……いや友達……そう、ライバル!ライバルであるめぐみんのことを少しばかり考える。

めぐみんはカズマさんと一緒に残ると言っていた。更になんだかカズマさんといい感じだ。みたいなことも言っていた。別にめぐみんに言われたことを気にしているわけでは断じてないが、少し羨ましいかもしれない。素敵な仲間と巡り会えて、友だちもできて、好きな人と一緒にいられる。どれも私にはないもので、こういうところでもめぐみんには敵わなかった。

「そういえば、結局決着つかなかったなあ。」

心残りといえばそれだ。めぐみんとの決着。小さい頃から何でも一番な彼女と2番手だった私。思わず劣等感に苛まれそうになる。

でも、大丈夫。族長になる時点で勝ちみたいなものだ。

そう自分を言い聞かせて、実家に足を運ぶ。

族長になって、言葉のわかるモンスター牧場を作って友達を増やす。ついでに観光資源にもなる完璧な作戦。この里には詐欺みたいな観光場所しかないからね。

友達が増える。ふへへへ。

「おお、雷を背負う者ゆんゆんじゃないか。ニヤけて何してるんだよ。」

「ああ!ゆんゆんだ!」

「ぶっころりーさん。その名前で呼ぶのはやめてください…。」

ぶっころりーとめぐみんお妹のこめっこが正面から来た。

「そうか、かっこいい名前だと思うんだけどな。雷を背負う者。こめっこもそう思うよな。」

「ゆんゆん姉ちゃんかっこいい!」

「ずいぶん懐いているんですね。こめっこちゃん。」

「ん。ああ、ひょいざぶろーさんたちがいない時は面倒を見ているからな。ほら、自慢じゃないが俺はかなり暇を持て余してるからな。家にいると、働けって親父にどやされたんだよ。」

「働けばいいじゃないですか………。」

「それができたら今更ニートなんてやってない。」

「開き直らないでくださいよ……。」

紅魔族随一(笑)のニートは今日も絶好調である。

「あのね。ぶっころりーはね。ご飯くれるんだよ!」

こめっこちゃんが嬉しそうに言う。

「意外でした。ぶっころりーさん料理できるんですね。」

感心した。意外な特技があったらしい。最も魔法だってもちろん普通にすごいのだが、ニートなので活かすことがあまりない。もう、料理人にでもなったほうがいいと思う。それかとっととこの里を出て冒険者になるか。

「何言ってるんだ?できるわけ無いだろ。ニートにそんな高度なこと求めるなよ。」

たった今感心した気持ちを返してほしい。というかよく考えてこんな小さい子に食べ物を貢ぐって………

「おい、何だ。そんな目は蔑むような目で見るんじゃない。俺はロリコンじゃないからな。ニートだって生きてるんだぞ。」

「でも、ニートじゃないですか。」

「ニートに対する偏見が酷い!?」

あれっ?カズマさんもアイリスちゃんやシルフィーナちゃんを可愛がってたしあながち間違いじゃないと思ったんだけどな。

「ぶっころりーはロリコンニート?」

「こめっこちゃん?どこでそんな言葉覚えたのかな?」

危ない。こんな小さな子どもに教えていい言葉じゃない。ひょいざぶろーさんたち、どんな育て方を…

こめっこちゃんの将来を心配していると、こめっこちゃんはそのまま自然な動きで左上を見る。

「な、なんだよ。確かに教えはしたがそれは頼まれたからであって、進んで教えたわけじゃないからな!おい、やめろ!ライトオブセイバーを唱えようとするな!!」

その後、ニートの必死の命乞いがあたりに響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る