第27話 このテレポートの謎に解明を!
アクセルの町に飛んできた俺達は、とりあえず昼飯でも食うかという事でギルドに向かっていた。アクアはなんだかんだ落ち込んだままだが、ダクネスとめぐみんがフォローしているので問題なし。
「いや、お前がフォローしろよ」といった声が聞こえた気がしなくもないが………
そんなこんなで、俺達は俺、めぐみん、アクア、ダクネスといった並びで並んで歩いている。そんな中俺は考え事をしていた。ある魔法についてだ。
テレポート。
初めて利用したときは「なんだコレ最高かよ。」なんて思ったが、実際はそこまで便利なもんじゃない。テレポート先は3箇所しか登録できなし、初級魔法とかと違ってちゃんとした詠唱も必要になる。一度に運べる人数にも限りがあるし、安定したテレポートをするには魔法陣も必須だ。
ただ、そんな弱点を差し置いても移動にかかる時間を大幅に短縮…いや、何ならゼロにできるこの魔法は自分で習得してみてものすごく便利だと思う。なんなら、テレポート屋なんていう商売すら成り立つのだ。習得しておいて損はない。アークウィザードなら誰もが習得しておきたい魔法だろう。俺は今までレインやゆんゆんを始めとし、ウィズ、紅魔の里の人々、魔王軍幹部の温泉お姉さんこと邪神ウォルバクさんなどなど、多くのテレポートを使える人たちと出会ってきた。そんな中、俺は重大な事実に気がついてしまった。いやあ、この事実に気づいたとき、あまりの衝撃に驚きを隠せなかったよ。そう、俺が気付いた真実とは………………
テレポートを使える人たちは………
みんな胸がでかい!!!!!
いや、あれは例の店で胸の大きな女性を連想していたときのこと、頭に浮かぶ人達の共通点に気がついたんだ。つまり、ここから連想するに、テレポートを習得すると胸がでかくなる。
俺は隣の発育不足娘に声を掛ける。
「なあめぐみん。お前テレポートを覚える気はないか?」
「えっ?一体どういう風の吹き回しですか?私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード、爆裂魔法以外の魔法を覚える気なんてさらさらありませんよ。テレポートの登録先を増やしたいなら、ゆんゆんかウィズにでも頼めばいいでしょう。」
「いや、そういうことじゃなくてだな。」
俺の言葉にめぐみんは途端に訝しむような視線を向けてくる。
「なんだか、すごく嫌な予感がしますが、まあ一応聞きますけど、なんでテレポートを習得させようとしてきたんですか?」
「ふっ。聞いて驚くなよ。ときにめぐみん、テレポートを覚えている人の中で共通点は何だと思う?」
「共通点ですか?そんなものないと思いますけど。」
その言葉に俺は足を止める、それに合わせてめぐみんも足を止めた。
「おい、カズマどうしたんだ?」
「ん、ダクネス。ちょっとめぐみんと大事な話があるから、先言っててくれ。」
「そうか。じゃあ、ギルドで待ってるぞ。」
そう言ってダクネスとアクアは先に進んでいった。
そうして、視線をめぐみんに戻し、なぜか少しそわそわしだしためぐみんに、俺は勿体付けてから返す。
「よし、めぐみん。教えてやろう。………ぬっふっふっ。答えはなあ、みんな胸が大きいんだよ。」
俺の言葉にめぐみんは一瞬固まったが直ぐに大声を出した。
「はっ?え?…なんですか!?急に勿体付け出して話を振ってきたかと思えば!なんですか?セクハラですか?開口一番にセクハラですか!?」
「おいおい、これでも真面目に考えたんだぜ。」
「真面目に考えてそれなら、カズマはセクハラ大魔神です…よ………いや、まあもとからセクハラ大魔神であったことに変わりはありませんでしたね。」
少し、切なげな声を出すめぐみん。そんな態度に無性にいらつく。
「なんだと?こんなのはセクハラのうちに入らないわ!ちゃんとしたセクハラが受けたいならもう少し、そのスマートな胸部に膨らみを足してから言うんだな!このロリ魔法使いが!」
「なんですか!そのロリ魔法使いに、昨日あんなことやこんな事をしたくせに。」
「お、おい。昨日は踏み越える前に中断されたから、そんな事言われる筋合いはないぞ。」
慌てて訂正。そして、めぐみんの反撃。
「ふーん。中断された…つまりされなかったらそういう事をしていたってことですよね。なんだかんだ言っときながらカズマも結局はロリコンですもんね。」
「おい、何もしてないのにそこまで言われたんじゃ言われぞんじゃないか。」
「つまり、なにかしたいってことですよね。ほらやっぱりロリコンじゃないですか。」
「あ、あれは雰囲気に流されただけ、そう、それだけだ。」
俺の言葉にめぐみんは挑発的な笑みを作る。
「へえ、そうですか。なら、今ここでなにかしますか?もっとも、カズマにその勇気があるのならですが。」
完全に調子に乗っている。それを長年の付き合いで感じ取った俺は、一気に反撃に出る。
「そうか、じゃあお言葉に甘えて……スティール!!」
「へっ?」
俺は手元にあるものを確認してつぶやく。
「おっ、いきなり当たりか。」
「ッッッ。ちょ、ちょっと返してくださいよ。」
めぐみんがスカートの裾をお抑えながら言った。
「ほ、ほら。今なら寛大な私は許してあげますよ。カ、カズマだって、こんなことしたら変態認定されてしまいますし……ねっ。ここはカズマのためにも私が特別に許してあげますから、だから…」
「スティール。」
バッと、今度は片手でスカート片手で胸元を押さえるめぐみん。
俺の名はサトウ カズマ。やると言ったらやる男なのだ。
「カズマ?いい加減にしないと私も怒りますよ。今すぐに謝って、その手に持っているものを返すなら特別に許してあげましょう。」
めぐみんの言葉に俺はすっと手をかざす。
その仕草にめぐみんは自分の体を両腕で抱く。
「カズマ?冗談ですよね?カズマは私にそんな酷いことしたりしませんよね。私が好きになったカズマはなんだかんだ優しい思いやりのある人ですよね。私も少し悪いところはありましたし、ここは平和的にですね……」
「スティ」
「ああああああああああ。わかりました。謝ります。謝りますから。挑発したことも、いい感じの雰囲気で乗り切ろうとしたことも謝りますから。」
「よし、今回だけは寛大な心で許してやろう。」
そう言ってめぐみんにスティールしたものを手渡す。
「むっ。もとを正せば、カズマがセクハラしたのが原因なのに、なんだか腹が立ちますね。」
「おいおい、いいのか?俺のスティールが火を吹いて、お前の一糸まとわぬ姿を公衆の面前にさらすことだってできるんだぜ。」
「やめてください。そんなことされて喜ぶのは、それこそダクネスくらいですよ。一応謝ったんですから、やめてくださいね。わかりましたか。絶対にやっちゃだめですからね。」
そう言いながら着替えのために路地裏に隠れていくめぐみん。そこまで言うならフリなのかと考えもしたが、今日はまだ爆裂魔法が残っているため思いとどまった。
その後俺は、かなり不機嫌になっためぐみんのご機嫌を取りながら、二人でギルドに向かうのだった。
「ほ、ほら。さっきは俺も悪かったしな。あれはその……そうだ、眼の前に可愛い女の子が居たらついつい意地悪したくなっちゃうだろ。つまりそういうことだ。」
「だとしてもあれは意地悪の範疇に入り切らないと思うのですが………一応聞きますけど、私のどこらへんを可愛いと思ったんですか?」
「それは……ええと…そう、顔だな。めぐみんは美人だし、目立って綺麗で大きいだろ。きっと世界中探し回っても、めぐみんほどの美人は数えるほどしか居ないぞ。」
ついでに言えば、コイツほど頭がおかしいやつも他にいないと思うが…
「ふふふ。まあ、褒められて悪い気はしませんね。これは忠告ですが、私以外にはあんなことしてはいけませんよ。寛大な私だから許しただけであって、他の人にやれば即刑務所行きですよ。」
「ああ。あんなことお前以外にはしねえよ。」
「よろしい。それではアクア達も待っているだろうしギルドに行きましょうか。」
すっかり機嫌を直したちょろみんの言葉に俺も頷き、少しペースを速める。
そんな中、ちょろりみんの胸を見てある考えに至る。
(そういえば、めぐみんのお母さんもスレンダーな体系だったよな。)
ろりみんの胸の成長は血筋的に絶望的なのかも知れないと、俺は内心肩を落とすのであった。
「今なんか、失礼なことを考えませんでした?」
「いえ何も。」
心を読む超能力者めぐみんに懐疑的な視線を向けられた俺は、半ば逃げるようにギルドへ向かう足を速めるのだった。
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