第15話 この初めてのデートに祝福を!7

「……カズマはダクネスやアイリスのことをどう思っているのですか?」

………えっ?

いやいやいやいや。えっ?。ちょっと待て。落ち着け。落ち着くんだ佐藤和真!めぐみんはなぜいきなりそんなことを聞いてきたんだ。さっきダクネスとアイリスのほうがいいとかなんとか言って、やばくなってたじゃん。一体どういう風の吹き回しだ。本当にわからん。いや。これは俺を試しているのか?嘘ついてのすぐ看破されそうだし……いや正直に答えて、気不味くなるってのもヤバいか。くそっ。一体どうすれば……。

「正直に答えてくれて構いませんよ。その方が私もスッキリするので。」

そう言われてもな〜。まあでも本人が言うなら正直に言おう。

「まあ、ダクネスのことは好きだよ。仲間だしな。俺はお前たち三人とも好きだし。一緒に暮らしていきたいと思ってる。異性として認識はしているし。好意を寄せられて嬉しいと思うし。それを変に気持ち悪がったりもしない。アイリスはなんというかほっとけないというか。一緒にいて楽しいし、お前らみたいに迷惑をかけさせられることもない。ただ、二人とも異性として好きかと聞かれたらわからない。嫌いじゃない。でも好きでもな

い。別に無関心なわけじゃないんだ。わからない。だがそれだけしか分からない。ごめん。今こうやってデートしているのにもかかわらず、誰かのことを好きだとか、気になってないとか、気の利いた言葉の一つも掛けられやしない。本当のごめん。」

我ながらかなり最低だ。眼の前にデートしている女の子がいても、自分の気持ちがわからないとか、これでは世間でのクズマさんだのカスマさんだの言われてても仕方がないのかもしれない。

「カズマが謝ることはありませんよ。それに私はあなたが誰を選ぼうと、口出しする権利はありませんから。もちろん私を選んで欲しいというのが本音ですが、あなたの意思で後悔のない選択をしてくれれば別に……」

そんな綺麗事を全く気にしてないかのように告げるめぐみんだったが、その言葉とは裏腹に、その顔はスッキリしたかのような、それでいてどこかさみしげな表情をたたえていた。そんな中俺は……

「そんなバッサリ言われるとちょっと複雑なんだが……」

一切空気を読まずにそう言った。

「あなたという人は!こんなときくらい空気が読めないんですか!?」

「だって。もうちょっと私を選んで要素が多くてもいいだろ。なんか軽く見られてる思うじゃんか。」

俺の言葉にめぐみんは椅子から勢い良く立ち上がると

「なにを言うんですか!?私はあなたが好きだと言ってるではありませんか。何ですか言われたりないとでも言うつもりなのですか。いいですよ。そんなに望むなら何度でも言ってあげようじゃありませんか!私はあなたが好きですよ!毎日の爆裂魔法と同じくらいにはあなたのことを考えてますよ!大好きだし、愛してますよ!好きで好きでたまらないですよ!どうですか!?これで満足ですか!?」

瞳を紅くしていることから、めぐみんの言ってることが本当のことだとわかる。

「いや、その、そんなに好きとか言われると流石に照れるというか……まあでもありがとう。嬉しいよ。だからその瞳で睨むのはやめろください。」

俺の懇願に、めぐみんは呆れたように鼻を鳴らすと、今度は後ろにクルリ振り向く…

いや、なにしてるの?もしかして気恥ずかしくでもなったのか?

「どうしたんだよ。めぐみん後ろなんか向いて…」

俺のその言葉を聞いていたはずなのに、めぐみんは一切こちらを向こうとしない。

やばい。怒らせちゃったか。まあ怒られても仕方がないことはしていたが。どうすればいいんだ。

俺がその場でオロオロしていると、

「だそうですよ。良かったですね。まだ望みがあって、ほらそろそろ出てきたらどうですか?ドスケベ変態ストカーお嬢様とブラコンストカー王女様?」

その言葉にめぐみんの視線が向けた方向にいるフードを被った二人組がビクリと震える。

………えっ?

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