第10話 準備

 リアムから聞いた話は竜を瞬殺したという事実がなければ、とても信じれなかっただろうモノだった。話を約すと、前世エルフで何万年も生きていたという記憶があるってことだ。


 いや、疑いはしないが……今までのことにも説明がつくかもしれんが……。


「……なぁ、それマジ?」


 こう言う事くらい許してくれよな。


「ああ、大分あやふやだが。……嘘をつくわけないだろう」


 リアムが不貞腐れたような態度をとる。見た目はただの子供なんだがなぁ。人形みたいに整った容姿の。


「いや、驚いただけだって。後まだ話があるんだろ。聞かせてくれ」


 いやごめん、嘘。信じられるわけあるかぁ!俺は心の中で叫ぶ。


「……旅に出たいと思う」


 俺は耳を疑った。え……。


「……今何て?」


「ハァ、旅に出たいと思うと言ったんだ」


 彼は溜息を吐いていった。


 ……いや、なぜ?俺との暮らし、そんな嫌だった!?


 それに、普通に考えて、成人前の七歳の子供だぞ、前世があるとかの前に。旅に行く年じゃない。


「どうしてだ。俺との暮らしに不満があった?できる限り直すぞ!」


 彼は真剣な顔で、手をチョキにして言う。


「違う、そうではない。理由は二つある。一つ目は自分を強くしたいということだ。アルチュールだって人間だ。私が死ぬまでずっと一緒にいてくれるわけでは無いだろう」


 指を一つ折る。


「二つ目は前世のことを思い出したい、ということだ。何故かは分からないが思い出した方がいいという予感がする。……と、いうわけで私は旅に出たいと思っているんだ」


「それは――ッ」


 そうだよな。

 俺は彼を仲間と認めたんだ。

 彼が真剣にしたいと言った。なら、止める必要は無いよな!


「そうか、なら出発は明後日にしろよ。やってもらわなくちゃならないことがたくさんあるんだ!――必要なモノとか、旅で大事なことも教えてやるぞ!」

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