第8話 英雄

それからのリアムと竜の戦いは一方的だった。戦いと言っていいのかも分からない。


 どっちが優勢だったって?――そんなの彼に決まっている。


 俺が唯一肉まで傷つけられた竜の傷ももう血が止まり、普通に動けるようになっていた。本気になった竜を一人で止めるなんて無謀だと思っていたのだが、その心配は呆気なく打ち砕かれた。


 吹かれたブレスを魔法の結界で俺を共に防いだ次の瞬間にはもう竜の首は飛んでいた。


 俺の仲間が命を懸けても傷一つしか残せなかった竜を、瞬く間に倒した。


 ――――俺は確かに見たのだ。その英雄のような所業を――。

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