第2話 可笑しな子
私は私が可笑しな子であると自覚している。赤子の頃から意思があり、大人のような考え事をできた。
五つという年でしっかりとした思考を持っていて、自分を分析出来ているという今の状態が何よりの証拠だろう。
「おい、狩りにいくぞ。付いてこい。」
……今、私に話しかけたのはアルチュールという、親代わりの青年…いや、おじさんで、熊みたいながたいの良さと、モジャモジャの髭を蓄えた、元冒険者の人だ。現役の頃はそれなりに活躍したらしく、よく武勇伝を聞かせてくる。
後はもう一つ、竜という魔物の恐ろしさについても、聞かされる。戦って負けた、その代償に、片腕を失ったこともだ。
「分かった。今行く」
ここは山奥の一軒家で、私と彼しか暮らしていない。山を越せば、小さな村があるので、必要最低限のものはそこで揃える。
とはいえ、山奥には変わらないのでほぼ自給自足だ。
彼が亡くなっても大丈夫ように、狩りを教えてほしいとお願いした。
最近までは、行かせてもらえず、文字を教えられていたが、五つになってついて行くことを許可された。
私から進言したとはいえ、五つの男の子を連れて行くとは……まぁ、彼にとっては普通なんだろう。
そもそも、自分の常識(言葉も)が何処からきているのか分かっていないのだ。
彼に指摘するのは可笑しいだろう。
外に出るための準備をして出発し、その後狩りをした。季節は夏よりの春だったため、それなりに狩れた。
これで、肉に関してはしばらく持つだろう。……彼が無駄に沢山食べなければ。
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