僕のこと

 背中が凝り固まっていて、そこにヘドロみたいな液体がゆっくり流れているみたいに気持ち悪かった。たぶん視線恐怖だった。駅前のビルの一室の通信制高校の自習室。レポートが滞り気味で、担任に急かされていた。昨日の夜更かしのせいで午後の混んでいる時間に来てしまったので、前の方の席しか取れなかった。前に座ると後ろからの視線が気になる。できれば壁際の一番後ろがよかった。そこはいつも一番先に埋まるんだけど。だれも見ていないのに、自分の服装や髪型や体型や姿勢やすべてのことが不安になって、自分の形作り方を教えて欲しいと思う。みんなはどうやってその形に落ち着いたんだろう。それとも落ち着いていないんだろうか。だとしたら怖くならないのかな。おそらく、独自のゆがみ方で形成されてしまった内面がそのまま外見に表れているだけなのだ。内面はだれからも見えないから安心して湿気た箱の中に入れておくのだけれど、外見だけはそうはいかない。引きこもって自分を箱入りにしない限りは、外見は社会に晒し続けるものだ。後ろからの虚構の視線に急かされるようにシャーペンを走らせて、大量の折れ芯と消しカスを作った。時計が進むのをじりじりと待って、来てから2時間、ちょうど19時のあたりで切り上げた。担任によく頑張ったねを言われて、それには上手く返せずに、今日は書店に寄って帰ろうとぼんやり思った。

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