第5話

山猫は森林地帯の中を歩んでいた。

ふと、何かの匂いを嗅いで傍らに立っていた切り株に飛び乗った。

その上でうずくまればその姿は木の瘤のようだった。

その下を猪が通り過ぎた。

その後ろからうりぼう(猪の子)が一列になって従っていった。

山猫はその様を見下ろしていた。

やがてしんがりに一番小さいうりぼうが歩んできた。

たちまち山猫はそのうりぼうに襲いかかってくわえ、切り株の上に飛び上がった。

「キキーッ」

うりぼうの悲鳴を聞いて先頭を歩んでいた母猪が跳んできたが切り株の上にいる山猫には手も足も出なかった。

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山猫は無罪 @gilun6pc

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