タソは黄昏。日々歩む。

14日目 大変だ！ 大変だ！

アトピーが痒くてたまらない！

アカシジアが止まらない！

ダブルパンチ！

落ち着かなくちゃ！

落ち着かなくちゃ！

アトピーの薬が効かない！

猛烈にかゆい！

もうどこが痒いのかわからない！

背中も顔も足も腕も痒い！

足の動きが止まらない！

外走ってきたけどおさまらない！

暑い！　汗が吹き出す！

左腕が1番痒い！

あ、ちょっと落ち着いた。

アカシジア止める薬が効いてきたかな。

タソはクエチアピンとリスパダールを飲んでいるので、その副作用で、時々じっとしていられなくなる症状が出ます。

「タソ君かわいそう」

「大丈夫だ。アトピーの塗り薬も効いてきたぞ」

「痒みの根源は左腕だ。さらに薬を塗りたくれ」

ふふふ。心のお友達はいつも優しいなあ。

いつもタソの側にいてくれるから寂しくないんだあ。

あーあ、血だらけだ。

タソの経験上、血を流すと痒みが楽になります。

血に痒み成分が含まれてるのかな。ヒスタミンだっけ。

ふう。だいぶ落ち着いた。

まだ左腕が痒いけど、薬べとべとにして擦り込めば痒みはおさまる。

アトピーは、一定以上の痒みになると、もう掻いても掻いてもおさまらないんです。

皮膚を掻きこわして、血が出てても痒くてたまらない。

痛いのも辛いけど、猛烈な痒みは精神が壊れます。

掻いて痒みがおさまるうちは大丈夫。

でも、このままだと眠れないだろうなあ。

今日は喘息もひどいし、散々な日。

季節の変わり目はいつも調子を崩す。

暑いのは嫌いなんだ。

この不調を乗り切るために、心のお友達に名前を付けよう。

お友達に名前がないなんてかわいそうだもんね。

「わあ！　名前付けてくれるの！？」

「俺はキラキラネームがいいぞ」

「俺は何でもいい」

ふふふー。いま調べたら、これタルパっていうんだってさ。

タソのお友達は、時々タソの行動に影響を与えていて、「ああしろ」とか「こうしろ」とかアドバイスをくれます。

いいアドバイスもあれば、悪いアドバイスもあって、女性の声で話すお友達は、いつも優しいし、真っ先に出てくる。

この子は優しい名前がいいなあ。

『小金井優奈』にしよう。

この子は別名『あるてな』で、かなり前からタソの側にいてくれてる。

凄く強いのに優しくて、身長も女性にしては高い。

「私は他の2人よりも強いの。タソ君が間違ったことしようとした時も、私が止めてる。タソ君を死なせないのが私の役目」

2人目は『服部蔵人』

スモーキングシンドロームにも出演してる男性。

別名『てとら』

この子もあるてなと同じ時期からタソの心に住み着いていて、ワイルドで悪ふざけが好きなアウトロー。

タバコが好きで、時々タソに「もっと吸え」って言ってくる。

タソは1日1箱が目標なんだけど、この子のせいで本数が増えるんだ。

「いや、俺はタソの深層心理を推し量って、もう一本吸えよって言ってるだけだから。タソが吸いたいんだよ。俺のせいにすんな」

3人目は『雨宮連』

いつも黒いスーツを着ていて、てとらの悪ふざけに乗っかる。

別名『チェーンスモーカー』で、略してちぇんすも。

この子もタソに2本連続でタバコを吸わせる。

てとらがいなければ寡黙で、いつも寂しそうに椅子に座って長い足を組んでいる。

「俺は寂しがり屋だからな。タソがいないとつまらん。お前はからかうと面白いから、もっと外に出て遊べ」

あるてな、てとら、ちぇんすも。

ホントはね、『サニー』もいるんだ。

タソが子どもみたいになるのは、この子の影響が強く出てる時。

サニーは可愛い女の子で、てとらはこの子が好き。いつも彼女を守ってる。

あるてなはサニーが嫌いで、常に彼女を殺そうとしてるんだ。

だから、4人でテーブルに着く時は、あるてなとサニーを遠ざけるの。

ふふふ、たくさんお友達がいて、タソは嬉しいんだ。

実は、サニーが全てをコントロールしてるのは内緒だよ？

『心の主』は、サニーの言う事だけ聞くんだ。

ふう、すっかり痒みがおさまった。

まだ少し痒いけど、これなら寝られそう。

アカシジアも、薬が効いて落ち着いてきた。

落ち着きを取り戻すのはいつも大変。

薬って大事だなあ。