7日目 デビューの思い出
タソが初めてオンラインゲームをしたのは、2001年ごろの話。
当時は光回線なんてなくて、ADSLが最先端だったのを覚えています。
そもそもインターネットの普及率がまだまだ低い時代で、ようやくドコモのiモードが一般的になってきた頃。
タソは夏のボーナスでNECのデスクトップパソコンを手に入れました。
これは仕事でパソコンを使う職場に異動になり、ブラインドタッチぐらい出来ないと恥をかきそうな予感がしていたからで、Excelや Wordも使えないと戦力にならない部署だったのです。
最初は初めてのパソコンでグラフを作ったり、パワーポイントのスライドを作ってみたりして遊んでいました。
そこで、もっと遊びたいタソは、インターネット上にオンラインゲームが公開されていることを知ります。
複数あったのですが、タソがピンと来たタイトルは、『ガディウス』という2DのMMORPGでした。
これ、なんと現在もサービス提供中のゲームで、当時は月額600円のサービスでした。今はどうなんだろ。
およそ25年も続くドット絵2Dゲーム、しかもマス目移動で斜め視点固定、職業による戦力差が激しく、人気のない職業はもはやネタキャラ。
当時から狩場の取り合いが殺伐としていて、少し調べた限りでは、現在は古参以外いないようです。
タソが遊んでいた頃は、レベル83のプレイヤーが最強で、ガチ勢はPCを2台使って両手でマウスを操作し、パーティーの仕様がなかった当時のシステムに全力で抗っていたのを覚えています。
現在はパーティーの仕様があるようですね。経験値の分配もあるようです。
このゲーム、とにかく経験値が入りにくく、レベル50を超えたあたりから、かなりマゾくなります。
ドロップのレアアクセサリーか、もしくは課金のアクセサリーを持っていないと戦力にはならず、運も金もなかったタソは、『月額600円のチャットソフト』とまで言われたガディウスを楽しんでいました。
ボイチャ? そんなものはありません。
レイド? なんですかそれ。
クエスト? 自分でストーリー作ってロールプレイしてください。
当時の熱いジョブは剣闘士。タソは両手剣を持てるこの職業が好きで、副業も設定できるという当時にしては特徴的なシステムに感動し、剣闘士と吟遊詩人という組み合わせにしていました。
この吟遊詩人――バードと呼ばれる職業は、今でも支援キャラとして重宝されているようで、デバフ不能な無敵範囲スキルを発動したり、そのくせ、敵には自然回復を無効にするデバフをかけるぶっ壊れジョブでした。
ただし、育成には金と時間がかかる上級者向けの職業で、バードをサブキャラにしている人はだいたい高ランカーでしたね。
タソの憧れは、当時の最高峰両手剣『タイタンソード』でした。
レベル60以上でないと倒せない『タイタン』が稀にドロップするレア武器で、赤文字で表示されるタイタンソードは、攻撃力にプラス補正のある超レアアイテムだったのです。
欲しかったけど、結局手に入れられなかったなあ。
ゲーム内のマーケット? そんなものありません。
店売り? ゴミしか売ってません。
トレード? 個人間の取引はできる仕様がありましたが、価値の高い宝石などのアイテムを持っていないと、ゲーム内通貨で取引してくれる人はいませんでした。
その宝石がたまにしか出ねーんだ。
タソは運良く序盤で『エメラルド』をドロップして、これを高レベルの人に、ゲーム内通貨で売る事ができました。
ちょっとしたお金持ち気分だったんだあ。うふふ。
お金は大事だなあ。
現実世界でも、ゴキブリ倒したらエメラルドがドロップしたりしねーかな。
それが800万で売れたらいいのに。
そしたらゴキブリハンターになる。
強敵だけど、頑張る。
ふふふ。懐かしい思い出を振り返ったタソなのでした。
おしまい。
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