第6話 紅葉姉さんは闇が深い?

 学校ではいつものメンバーとなった翼と大友さんや怜奈、そして俺で固まっている。


 他にも友達はたくさんいるのだが交流関係の広い翼がほぼ毎回違ったクラスメイトを連れてくるのでいつものメンバーと呼べるのは三人だけなのだ。


 ちなみに、俺はそこまで顔が広くないため、他のクラスメイトからは『クラスの中心的人物ではあるが、よくわからないやつ』と思われていた。


 そのため、最近はクラスメイトに積極的に話しかけるようにしているのだが、小学生の話題に小学生と同じテンションで対応するのは骨が折れるため、クラスメイトと親しくなるのには難航している。


 だが、翼の親友という立ち位置と真面目で先生の印象もいいが、ちゃんとノリも合わせられるやつになりきっているおかげか、少しずつだが『よくわからないやつ』という印象を払拭できている。


 その甲斐あって、翼を通さずに直接俺に話しかけてくれるクラスメイトも増えてきた。


 そうして、なんとか上手く立ち回りながら、学校生活を送っている_____ 勉強?もちろんしている、小学生のうちは英語に力を入れると決めたため、聞く必要のない授業(ほとんどの授業)のときは内職している。見つかっても何も言われないのは俺が普段から先生の好感度を稼いでいるからだろう。


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 放課後の行動パターンは『みんなと遊ぶ日・習い事の日・まっすぐ帰る日』これらに分けられる。


 今日はまっすぐ帰る日だ。


 「ただいま、紅葉姉さん!」


 「お帰りなさい、夜鷹君。今日は早いですね。寄り道せずに帰ることはいいことです」


 俺たちの両親は、二人とも仕事が忙しいか浮気相手と過ごしているかで、ほとんど家にいない。


 紅葉姉さんは小学四年生にしては、物凄くしっかりとしている。おそらく、両親が家に帰ってこないなかで、自分のことを自分でするうちに大人びていったのだと思う。


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 晩御飯は、毎回紅葉姉さんが作ってくれる。一度「作り方を教えてもらえれば、俺も作りますよ」といったのだが、紅葉姉さんに「これは、私の仕事ですから」といわれてしまった。


「「いただきます」」


 二人合わせて、食事の前の挨拶をしてから晩御飯を食べ始める。すると、紅葉姉さんが「そういえば、お友達はできましたか?」と聞いてきた。


 「はい、翼と大友さんと怜奈という3人の友達ができました!」


 それを聞いた紅葉さんが「怜奈……さんとは、女の子なのですか?」と神妙な面持ちで聞いてきた。「はい。そうですけど…。あぁ。あと、大友さんも女の子ですよ」と俺が言うと「そんな、入学してからひと月もたっていないというのに、もう女の子を誑し込んでいるなんて……」とかなんとか言っていた。


 人聞きの悪い、紅葉姉さんはドラマの見すぎなのだ。


 「そういうのじゃありませんよ。友達です」


 「そうですか。”今は”まだ友達ですか」


 完全に妄想の世界に入ってしまっている。虚空を見つめながら「夜鷹君の彼女が一人……、夜鷹君の彼女が二人……」___と乾いた笑いを浮かべながら繰り返していた。いったい、どうしてしまったのだろう?


 そんなことを考えながら夜鷹は、おかしくなってしまった紅葉姉さんを見つめながら、おいしい肉じゃがを食べ続けていた。

 

 

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