第4話 これが若さか...... 

 学校が終わり、校庭に出た俺たちは早速ドッチボールを始める。大友さんは俺と同じチーム。翼と怜奈は相手チームになった。


 みんな楽しそうにボールを投げ合っている。あの運動嫌いの(運動が嫌いなだけで運動神経はいい)はずの怜奈でさえ必死になってボールを追いかけているというのに、俺はというと『なんか、微笑ましいなぁ~』なんてことを考えていた。


 そういえば、小学生の頃はドッチボールとか外で遊ぶことが多かったよな。みんな、楽しそうだ、きっとドッチボールのことしか、今は頭にないんだろう。このころは、目の前の楽しいことに夢中になってたな。


 そして、それが許されていた、歳をとるごとに楽しいことだけ考えているわけにはいかなくなるからな。本当に、この自由でいられる小学生という立場を大切にしよう......


 そういえば、小学生の時の俺の夢は何だったかな?ころころ変わってたからなぁ~


 あぁ!そうだった!この頃は、ド〇えもんの開発者になりたかったんだ!!


 うわぁ……やばい、懐かしくて泣けてきた。


 全力で動き回るみんな見る。全員、生命力というやつがあふれかえっているように見えた。


 「これが、若さか……」


 そんなことをつぶやきながら、夜鷹はドッチボールの最中だということも忘れて、遠い目をして感傷に浸り続ける。


 当然、ドッチボールの最中にそんなことを考えながら突っ立っていれば狙われるのは当たり前だ 『ドンッ!!』 と胸に鈍い衝撃を受ける、結構痛い。「夜鷹!よそ見してるからだぞ!!」翼がそんなことを言ってくる。さらに、怜奈が俺を一瞥する。そして口元を手で隠しながら、こらえきれないといった様子で「くふっ」と失笑を漏らす。怜奈に笑われてしまった……


 俺が外野に行く途中一瞬目が合ったけれど、失笑を聞かれたのが恥ずかしいのか顔を赤くして目をそらされてしまった。まさか、また怜奈の失笑を聞けるなんて思わなかった。怜奈の失笑、冷笑、嘲笑などのたくさんの笑い声を一番聞いてきたのは世界広しといえど俺だろう。ちなみに『くふっ』の他にも、『くはっ!』とか『ふはッ』などのバリエーションがたくさんある。懐かしいなぁ~。あっ!怜奈、まだ顔が真っ赤だ。よほど、笑い声を聞かれたのが恥ずかしかったのだろう。


 気にすることないのに......


 「なに?私の笑い方に文句でもあるわけ??」


 やばい、教室でも注意されたのに、また見すぎてしまった。なんか、小学生の怜奈って、姪っ子に対するそれみたいな微笑ましさを感じさせられるから、ついつい見ちゃうんだよな。いけない癖だな、気を付けよう。


 「別に文句なんてないよ。笑いたければ、笑えばいいと思うよッ(キリッ!!)」


 「……その顔、気持ちが悪いから二度と見せないで」


 「はい。」


 気持ち悪がられてしまった。こうなれば、活躍して名誉挽回するしかない!!


 そうして、俺は(精神年齢的に)年甲斐もなくドッチボールを全力で楽しみ、みんなと絆を深めてから家に帰った。


~~~~~~~~~~~~~~~


 翌朝、四時四十五分に目が覚めた俺は朝の散歩に出かける。そして、朝の準備を済ませて登校する。しばらくは午前中までしか学校がないらしい。そのため放課後は、『翼』『大友さん』『夜船さん』などのいつものメンバーで、いろいろな遊びをしてから帰宅する。そんな毎日を過ごした。


~~~~~~~~~~~~~~~


小学生生活三日目の放課後。俺は自分の部屋で『やりたいことリスト』の制作を行っていた。


 「とりあえず勉強は、まだ小学生だから英語だけ頑張って他の教科はほどほどにするか」


 そんなことをつぶやきながら、思いついたやりたいことをまとめていく。


・勉強(英語を特に頑張る。ただし、一日三十分ほど、ほかの科目の予習復習をする)


・運動(朝のストレッチ、ランニング、筋トレ。また、基礎体力がついてきたらテニスを始める)実は前々からテニスに興味があったのだが、実際に触れては来なかったため、この機会に挑戦しよう。


・交流関係(当面の目標は親友を作ること。そして、クラス____ いや、学年内での発言力を高めるとだ)


・音楽関係(ギターとピアノ、ボイトレ)


 こんなものだろう、本当は絵を描く練習や書道、ダンスなどもやりたいが、欲張りすぎても中途半端になるだけだろう。


 しばらくは、この四つを全力で頑張ろう!!



 


 

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