11:北国の初夏 [性描写あり]
性に
北國は、春も夏も短きもの。長き秋冬を乘り越へる爲の
太陽は東のかた、やや低く、なれど既に暖かきを
「あふろら!」
ぢえれみゐ少年が手を振らば、あふろら孃も
「御早やう、ぢえれみゐ! 衣替へも濟んだのね、
言ひたきこと、言はれたかつたこと、を先取りされて
「あふろらも、今日も可愛ひよ」
と、口に爲さるのが精一杯。無論其れこそがあふろら孃の笑顏を輝かせる言葉だとも御存知で居られたのですが。
「
ぢえれみゐ少年よりも頭ふたつぶん上から屆けられる、其の綺麗に揃つた白き齒の、
「こ、此れ! 今朝、澤山採れたからつて」
「え!」
ぢえれみゐ少年が幾ら上に揭げたとて、あふろら孃との背の違ひは
其處で、ぢえれみゐ少年は見てしまふのです。
暖かくなつた頃合ひの、襟ぐりも廣くなつた寢閒着。僅かに覗かせた鎖骨の、其の奧に潛む、もの。
服の上からでは、ひと連なりの盛り上がりとしか見へていなかつた膨らみの、其の、谷閒。兩岸の山は決して高ひとこそ言へぬものの、白く、また柔らかさふでもあり。
「あふろら!」
「あ!」
と、家の奧から響く、あふろら孃の母御よりの
「御免ねぢえれみゐ、うちもいま衣替への途中なの。又た後で遊びましやう。おれんぢ、有り難うね!」
うゐんくひとつを殘し、あふろら孃は屋內に引き返されました。閉まつた玄關の向かふからは、そんなはしたなひ格好で、と母御の叱責が飛ぶも、あふろら孃はおれんぢにて直ぐ樣買收を果たした……やう、でした。
やうでした、と書くのは、此の時の遣り取りをぢえれみゐ少年は上手く思ひ出せぬのです。頭の中に有つたのは、見てはならぬものを見て仕舞つた罪深さと、其れを遙かに上回る、初めて感づる、昂ぶり。
目を瞑れば、あふろら孃の笑みが、白き齒、唇、うゐんくが。そして、
息も荒らぎ、
其の後のぢえれみゐ少年につひて詳細を
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