第7話
男はそのままソフトクリームを食べた。
平日休みのカップルや夏休みの家族連れの中で目をキラキラさせながらソフトクリームを食べる大学生はかなり浮いていた。
男は珍しくテンションが上がっていた。
普段であれば出かけるだけでも褒められるレベルで体力がないのに今日はこの後どこに行こうかなと考える余裕があった。
男が選んだのは赤レンガ倉庫だった。
夕方の函館の海は夕焼けがとても綺麗で、男は思わず一眼レフを構えていた。
「どんな写真を撮ったんだ?」
背後から声が聞こえた。
男はまさか自分に話しかけていると思わず無視をしかけた。
「いや、そこのカメラを持ったお前」
男はふと周りを見渡した。
すると自分以外にカメラを持った人間はいなかった。
驚きつつも振り返ると爽やかな短髪で色黒の男、襟足が伸びたスラッとして洒落た男、色白ではありつつもガッシリとした男が立っていた。
話しかけてきた男(以下、色黒)はキラキラとした目を男に向けながら再度こう言った。
「どんな写真を撮ったんだ?見せてくれよ!」
男は呆気に取られたが不思議と嫌な気持ちはしなかった。
普段の男からは信じられないくらい明るい声が出た。
「いいよ」
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