第6話
男は会計を済ませて店を出た。
どこへ向かおう。
計画を立てていないので思いつかない。
とりあえず有名な五稜郭にでも行こうと思い電停に乗ることにした。
カメラを首から提げ、財布とマップ代わりの携帯のみを持って出かけた。
男が宿泊している宿から五稜郭までの電停の停留所が短い距離に多数存在する。
時間にしてみたらそこまでかかっているわけではないのだが、なんとなく遠く感じた。
まず喉が乾いていたため、辺りを見渡すと大きなお店とそこに併設するコーヒーショップが目に止まった。
東京にもある店だ。この店はどこでも混雑しているんだななんて思いながらコーヒーとケーキを楽しみエネルギーを補給した。
この男には体力がないのだ。
一回一回カフェ休憩を挟まないとヘロヘロになってしまう。
30分ほどの休憩を終えて五稜郭タワーを目指した。
男は幕末の歴史がかなり好きだった。
オタクと言うには足りないかもしれない。
が、特に土方歳三が好きだった。
おわかりだろう。
五稜郭タワーには土方歳三が座っている銅像が設置されていたり、土方歳三に関する解説があったりする。
いわば聖地なのだ。
いくら普段無気力な男とてそれなりには興奮する。
思わず銅像と写真を撮るために並んでいた後ろのカップルに撮影をお願いするくらいには浮かれていたのだ。
だが笑顔は下手くそ。
これによって色白で前髪が長いひょろっとした真顔の男とガッシリとした凛々しい土方歳三像のツーショットが完成したのだ。
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